銀座「かわむら」のお誘い
先日、古い友人から食事の誘いがあった。銀座にあるかわむらというステーキのお店に一緒に行きませんかというもの。
食べログを見ると、みんなものすごく褒めている。分厚いフィレステーキとお持ち帰りのかつサンドが有名とのこと。ハンバーグもおいしそう。一見さんお断りで常連さんしか予約が取れないらしい。でも、値段については恐ろしい記載もちらほら。誘ってくれた人も、知人の代打として初めて行くので様子が分からないという。
予約を取るのがすごく難しいけど値段もめっちゃ高いというお店に一緒に行かない?っていうお誘いがあり、いまものすごく迷っています。
— ぶち猫 (@buchineko_okawa) January 15, 2016
そんな贅沢をしてもいいのか、一両日迷ったのですが、結局そこまで言われるステーキとはどんなものなのかという好奇心が勝り、行きますと返事をしたのでした。
店内は高級店とは思えないふつうさ
入り口。コリドー街の一本裏、路地を少し入ったところにあり、ものすごく入りにくい雰囲気。扉も店内も割と質素で、席はカウンターのみ8席。もともとスナックだったお店を居抜きで借りたのかな?と思いました。
前菜とスープ、サラダ
写真を撮ってもいいですかと聞いたら、一皿目以外は大丈夫とのこと。
そんなわけで一皿目は撮影できなかったのですが、薄く切ったサーモン、ヒラメ、帆立と大胆な大きさの鮑を盛り合わせたカルパッチョでした。
どれも美味しかったですが、一番はやはり鮑。え、こんなに?と思うくらいの量なのですが、臭みが一切なく柔らかくぺろっと食べてしまいました。今まで食べた鮑の中で、間違いなく一番おいしい。
次に出てきたのはコンソメスープ。全く具の入っていない透き通ったスープです。口に含むと野菜の複雑な味わいが広がったあと、和牛で出汁をとったと思しき後味がくる。すごく手間がかかっていると思わせるスープ。
箸休めのサラダ。菜の花、そら豆、グリーンピースなどの春野菜が入っているのですが、割と普通。定食屋さんで出てきそうなサラダでした。
メインはフィレステーキとハンバーグ
席に座った直後、きれいにサシの入った大きな牛肉を切り分けながら、「メインは何にしますか」と聞かれたので、予習をしていたわたしは「ステーキとハンバーグで」とオーダー。
切り分けられた分厚い牛肉は、カウンターから見える大きな鉄板の上で、ゆっくりと静かに火入れされていました。あれはどれくらいの温度だったんだろう。とにかくゆっくり穏やか。他のものを食べている間もずっと気になって気になって仕方ありませんでした。
そしてやってきたのがこちら。まず表面がすごい。肉汁も脂も全くにじんでいなくて、旨味を全て中に封じ込めた佇まい。端正な焼色。こんなに美しく完璧に焼かれたお肉は見たことがない。
切り口はこんな感じ。ミディアムレアくらいですが、焼き方は特に聞かれませんでした。お店に任せろということだったのだと思う。表面がカリッとして中はどこまでも柔らかく、噛むとじゅわっと肉汁が溢れる。もともとが赤みではなくサシの入った部位なので、脂の旨味が強い。でも全くしつこくない。塩か醤油をつけて食べるのですが、わたしは醤油がおいしかったです。
半分残すとおみやげにサンドイッチを作ってくれるそうで、どうしてもそれを食べたかったので、半分で我慢しました。振り返ってみるとそれが正解だった。
続いてハンバーグ。ステーキと同じくらいの分量があります。本当にシンプルなハンバーグ。最初はそのまま食べてみてと言われ、一口。牛肉の脂のおいしさがダイレクトに伝わってくる。箸で切ると透明な肉汁が溢れてきて、ちょっとだけ醤油と和芥子をつけて食べるのがおいしかったです。
ワインはお任せ
お料理に合わせたワインはこちら。そんなに高級なのがきても怖いので、お肉に合うリーズナブルなものをとオーダー。
締めはカレーか牛丼
フィレステーキとハンバーグをふうふう食べ終えたあたりで、「締めにご飯を召し上がりますか」と聞かれる。何があるかと聞くと、牛丼かカレーならすぐにお出しできますとのこと。すでにお腹いっぱい気味だったのですが、他のお客さんが食べている様子があまりに美味しそうで、わたしは牛丼、友人はカレーをオーダー。
すると、店主がおもむろに冷蔵庫からサシのびっしり入った牛肉の塊肉を取り出し、巨大な牛刀で紙のように薄い肉を切り出し始める。
そうして出来上がったのがこちら。超ぜいたくなお肉で作った牛丼です。脂が甘い。玉ねぎも甘い。満腹なのにご飯がもりもり進んでしまう。なにげなく添えられたぬか漬けもおいしかったです。
デザートは三種類
一仕事終えた気分で赤ワインを飲んでいると、「デザートは三種類ご用意できます。」とのこと。ラインナップは、カスタードプディング、バニラアイス、キャラメルアイス。ここまで来たら全部味見したかったけど、そんなことをしたら動けなくなりそうだったので、苦渋の選択でカスタードプディングを。
ちょっと小さめサイズ。素朴な味わいでした。濃い目の珈琲で胃がちょっと楽になる。
おみやげのステーキサンドはマスト
ハンバーグを食べ終えたあたりで、カウンターの向こう側にカリカリに焼かれた食パンが運ばれてきて、バターを塗り、トマトっぽいソースを塗り、焼き直されたステーキをスライスして挟み込んでいくという作業が目の前で繰り広げられていました。その結果がこのステーキサンド。おみやげとして包んでくれます。
翌朝起きて箱を開けたら、一切れしか残っていなかった。無念。ロースターでパンがカリッとなるまで焼き直してから朝ごはんにしました。やはりお肉がすごくおいしい。結構厚いはずなのに、全く引っかかりなく口の中で消えてしまう。ケチャップとトマトソースの中間のようなソースもおいしい。
もしかわむらに行く機会があれば、絶対このおみやげは作ってもらうべきだと思う。
総括
タイトルにも書きましたが、おみやげとワインまで含めて、お会計は1人約7万円でした。1回の食事にこれだけ使ったのは初めてかも。
贅沢な食材を惜しげもなく使い、特にメインのステーキの端正なこと。しかも調理のほとんどをカウンター越しにまじまじと見ることができる。そういう意味では、ちょっと高かったけど行ってよかったです。
一方で、これだけの金額を出せば(もっと安いお値段で)、他にもいろいろ美味しいものがあるのは確かで、そういう意味で次の予約はしませんでした。お値段とネットの評価から期待が高まりすぎていたのかも。もっと想像を絶するすごいものが出てくるのではないかと期待していたのです。なお、一緒に行った人の評価はもうちょっと辛くて、半分の値段だったらちょうどよかったとのこと。
二軒目でお酒を飲みながら、これは銀座遊びの一つなのかもねと話しました。銀座の裏路地にある一見さんお断りのちょっと気難しいお店で、コストパフォーマンスなど気にせずに贅沢なものを食べる。見えないものにお金をかける。
そういう遊びはまだわたしには早いのかもしれません。でもステーキの焼き方はすごく勉強になったので、この週末にでもさっそく焼いてみたいと思います。
フォローアップ
その後、自宅で厚さ3cmのステーキを焼いてみました。
buchineko-okawari.hatenablog.com
さらに肉の火入れを追求したくなり、The Anova Precision Cooker を導入して、低温調理をしています。
buchineko-okawari.hatenablog.com