生食用牡蠣の低温調理
先日伺ったお寿司屋さんにて、おもしろい食感の牡蠣を頂きました。これは何ですかと聞くと、低温で調理した牡蠣とのこと。プロセスを伺ったら、家庭でも再現できそうだったので、早速やってみました。
まずは生食用の牡蠣を用意します。冬の時期の牡蠣で特に問題となるのはノロウイルス汚染ですが、厚生労働省のウェブサイトによると、牡蠣のような二枚貝の加熱調理でノロウイルスを含むウイルスを失活させるためには中心部が85~90℃で少なくとも90秒間の加熱が必要とされています。
参考:ノロウイルスに関するQ&A(最終改訂平成28年11月18日)
今回の低温調理では、ウイルスを失活させるために必要な基準に達するほどの加熱をしないため、生食用を使う必要があります。
まずは牡蠣を洗います。牡蠣の洗い方については、食育通信のこの記事のやり方がいいと思います。片栗粉をまぶしてから、塩水で洗いました。
粒は揃っていませんが、ふっくらしてなかなか悪くない感じですね。
洗った牡蠣を低温調理します。具体的には、昆布出汁を75度に温めた中に牡蠣を入れ、再度68度まで温めてその状態を5分間維持し、その後そのまま冷まします。つまり、最初に牡蠣の表面を75度で加熱したのち、全体を68度で5分間加熱することになります。5分間だと牡蠣の中心部分まで68度にはならないと思うので、加熱はグラデーション状になされるのだと推測します。
なお、この加熱をAnovaでやろうか迷ったのですが、5分くらいなら保温性のよい鍋とコンロでやった方が手間がないのと、直火でやるのとジップロック越しに湯煎するのでは牡蠣への熱の伝わり方が違う可能性があると考え、今回は使いませんでした。
科学的に正しい昆布出汁の引き方は、こちらの記事でご確認下さい。
buchineko-okawari.hatenablog.com
加熱が終わって冷ましている牡蠣です。見比べると特に表面が生の牡蠣とは明らかに違う質感になりました。一方で、高温で加熱したときほど水分は抜けておらず、ふっくらした状態です。
お寿司屋さんによると、この状態で冷蔵庫にいれておけば一週間は大丈夫とのことですが、さすがにそれは恐ろしいので、一両日中には食べきりたいと思います。
ということで、冷めたところで、さっそくそのまま食べてみました。ぷっくりしていて、美味しそうですね。何もつけなくてもほんのり塩味です。食感は、表面がふんわりで中心部がトロッとして生に近い感じ。生とも加熱したものとも違う新しい食感で、なかなか美味しいです。
低温調理した牡蠣をパスタにする
残った牡蠣はパスタにしてみよう、ということでパスタを打ちました。最近、パスタを足踏み(ある程度こねた生地をジップロックに入れてバスタオルで包んでから足で踏んで捏ねる方式。うどんなどでよく用いられている方法ですね。)でやるようになったところ、生地の状態がよくなった気がする。うちのは卵入りです。
牡蠣に負けないよう、太目にしました。タリアテッレくらい?
ところでこれは春を先取りして購入した野菜、すなわち空豆と姫筍です。
姫筍は穂先を切って少し皮をむいて切込みをいれてから、、、
米ぬかと鷹の爪を入れたお湯で2時間ほど茹でてあく抜きしました。
茹であがりを割って軽く表面を焼いて、胡麻油と塩をつけて食べてもすごくおいしかった。ほんのりと甘いのです。
パスタの話に戻りますと、今回はバターベースでいきます。初めに、水気を切って小麦粉(あれば強力粉。でも薄力粉でもよい)をまぶした牡蠣の表面をフライパンで軽く焼きつけた後、牡蠣を取りだし、同じフライパンにバター(1人前15gくらい)を入れて溶かし、茹でた姫筍を入れて温めます。空豆は塩茹でにして皮をむいておきます。
溶けたバターの中に、牡蠣を茹でた昆布出汁を少しずつ入れ、フライパンをゆすりながら乳化させます。ソースも牡蠣風味です。並行してパスタを茹で、茹であがったら、フライパンの中に、焼いておいた牡蠣、茹であがったパスタ、塩茹でにした空豆を戻し、全体を軽くかき混ぜます。
皿に盛り、パルミジャーノレッジャーノをたっぷりと削りかけて、最後に黒胡椒をひいてできあがり。春野菜と低温調理牡蠣のバター風味パスタ。
火を通しすぎないのがポイントで、表面をさっと焼くだけなら中央のトロッとした質感が残り、水分も内部に留まったままふっくら出来上がります。パスタソースにも牡蠣の茹で汁と昆布出汁まで入っているので、旨みたっぷり。牡蠣、それから少し早目の春を楽しめるパスタになりました。
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