ぶち猫おかわり

料理ときどきぶち猫二匹

自家製麺で猪ラーメンを作った話

猪肉を入手しました

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シーズンが終わらないうちにジビエを試したいなと思っていたところ、猟犬を使ったイノシシ猟をしておられる"猟犬にっしさん@ryoukenhandler "から猪肉を分けて頂く機会に恵まれまして、送って頂いたのがこの写真のお肉です。

 

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Twitterで拝見していると、"猟犬にっしさん@ryoukenhandler " の猪肉はとてもきれいに処理されていておいしそうなのですが、実際に送って頂いたお肉もご覧の通り。冷凍されている状態でもお肉のよさが伝わってきます。

 

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そして、個人的にうれしかったのは、普通ではなかなか手に入らない内臓系も送っていただけたところ。今回は、送って頂いた猪のロース肉とスペアリブを使って自家製ラーメンチャーシューのせを作ったので、以下はその記録です。

冷凍されている肉を解凍する

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まずはカチカチに冷凍されている猪肉を解凍する必要がありますが、氷水解凍がお勧めです。密封されている冷凍肉をジップロックに入れ、氷を多めに入れた水で満たして閉じて、冷蔵庫に入れておきます。

氷水の温度である約1度は肉にダメージを与えずに解凍するためによい温度だそうで、氷水に漬けて冷蔵庫に入れるとその状態を長く保つことができます。これくらいの塊で丸一日くらいできれいに解凍できますが、できれば、落ち着かせるためにさらに半日くらいは寝かせておきたいところです。

猪スペアリブベースのスープを炊く

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さて、スープ作りです。解凍したスペアリブは、キッチンばさみで骨一本ずつに切り離した後、臭みが出るのを防ぐために、沸騰したお湯でさっとゆがいてから軽く水で流しました。旨みは温存して臭みだけを取りたいので、この工程は本当にさっと行います。

 

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水分を入れ替え、鍋肌にこびりついたアクを洗い流して、茹でこぼしたスペアリブをコトコトと煮ていきます。火加減は弱火。水面がくつくつ揺れる程度で、煮立て過ぎないよう気をつけました。写真は3時間ほど煮たところ。コクを出すために、猪ロース肉から切り取った脂肪部分を一緒に煮ることにしました。

 

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さらに2時間ほど煮たところ。スープが白濁してきています。ここで寝る時間になったので、一度火を止めて鍋の中で予熱で寝かせることにします。

 

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翌朝、香味野菜を投入していきます。今回は、にんにく、生姜、長葱の青いところ、皮付きの人参です。

 

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参考文献によると、骨はとにかく長時間根気よく煮込むことが大事なようなので、さらに3時間ほど弱火でコトコト煮込んでいきます。

ラーメン技術教本 -人気店に学ぶ、スープ、自家製麺、トッピング-

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魚介と乾物系の出汁をひいて合わせる

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スープのメインは猪なのですが、猪の骨の出汁は淡白らしいというネット情報と、そもそもスペアリブしかないので濃い出汁は取れないだろうということで、魚介と乾物でも出汁をひいて補強に使いたいと思います。今回は、利尻昆布(お徳用の切れ端)、厚削り節、煮干し、干し椎茸を使い、一晩水に漬けて出汁を引きます。

 

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翌朝、まず全体を60度まで熱して1時間保温し、昆布出汁を引き出した後、昆布を取り出して全体を沸騰する直前まで熱して、そのまま30分ほど煮立たせないように温めます。

 

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このような工程で、1日半ほどかけて引いたのが、猪スペアリブ出汁(左)と魚介乾物出汁(右)です。猪スペアリブ出汁は生姜の風味が強い。臭みは全くなく、優しく上品な味わい。魚介乾物出汁は、干し椎茸の香りが強めで旨みがガツンとくる、塩を入れていないのにこのままゴクゴク飲めそうなやつができました。これを混ぜてラーメンスープのベースにします。

細めの中華麺を打つ

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スープ作りの合間に中華麺を打ちます。材料は強力粉250gに、このときはまだかんすいを手に入れていなかったので、代用として重曹2.5g. これを100ccの水に溶かしておきます。加水率40%です。

 

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水回しはフードプロセッサーにて。まずは粉のみで10秒ほど回してから、重曹水を加えて更に回します。重曹を入れた途端、普通の小麦粉が黄色っぽく中華麺っぽい匂いになるの、不思議で面白いですね。

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水がうまく混ざった粉をジップロックに入れて、バスタオルにくるんで、滑らかになるまで足踏みでよく捏ねます。

 

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捏ねたのち、30分ほど寝かせて、四等分したところ。

 

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これを麺棒で軽く延ばし、さらにパスタマシンを使って薄く延ばしたものがこちらです。本当は製麺機がほしい気もするのですが、置く場所がないし、そんなに調理器具ばかり買っているわけにもいかないので、ネットで眺めるだけでがまんしています。

 

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薄く伸ばした麺を、細麺用のアタッチメントで裁断します。うちのパスタマシンはもらいもので、アタッチメントは細いか太いの二択という潔さなので、いろいろ工夫が必要ですが、今回は麺帯を少し厚め(メモリ5)にすることで多少太めの細麺にしたつもりです。

 

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できました。2回目にしては、きれいにできたのでは??素直にうれしいですね。

 

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中華麺は寝かせたほうがおいしいということなので、タッパーに入れて野菜室で保管しておきます。

野田琺瑯 レクタングル浅型L ホワイトシリーズ WRA-L

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Anovaで猪ロースチャーシューを作る

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次はトッピングを作ります。せっかくなので、チャーシューも猪でやりたいということで、中華風の猪チャーシューを作ることにします。解凍した猪肩ロースは思っていたよりも脂肪が厚かったので、一部切り取ってスープに入れました。本体は、念のため、ピチットシートで包んで脱水して臭みを取ります。

なお、猪のような野生動物の肉を扱う際には、家畜肉の調理よりもさらに食品衛生に気をつける必要があります。わたしは使用した道具はすべてすぐに熱湯で消毒し、生肉に直接触れる際には使い捨ての手袋をつけました。

オカモト 業務用ピチット 32R(32枚ロール)

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今回の味付けは、醤油、酒を2:1、はちみつ大さじ2、生姜、にんにく、葱の青いところ、八角ひとかけと花椒小さじ1/2ほどです。これと猪肉をジップロックに詰めて、Anova Precision Cookerを使って加熱していきます。

 

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野生の猪肉については、E型肝炎ウィルスを持っている可能性があるため、ある程度きちんと加熱する必要があります。基本的には豚肉の加熱と同じ水準で、かつ、今回は脂肪が多い肉だということもあり、63度で8時間加熱することにしました。

www.mhlw.go.jp

 

豚肩ロースチャーシューと同じ温度と加熱時間です。

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加熱が完了したところ。スパイスと香味野菜のよい香りがします。

 

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赤身部分はよく味がしみている様子。脂肪部分は透き通ってプリプリしています。

 

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仕上げに230度に熱したオーブンで5〜10分ほど表面をカリッと焼いて、香ばしさを追加しました。これでチャーシューは完成です。

トッピングを用意する

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その他のトッピングとしては、味付き半熟卵。わたしは冷蔵庫から出したての生卵を沸騰したお湯に入れて6分半茹でる流派です。味玉は、丸一日くらい漬けたほうがおいしいので前日に作っておきます。

 

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他に、長葱を小口切りにしたもの、あと芹を見かけたので、よく洗って軽く湯がいて起きます。

 

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味玉は半割に、チャーシューもスライスしておきます。

仕上げ

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猪スペアリブスープと魚介乾物スープを予めた混ぜておいたベースのスープを温めます。並行して、寝かせておいた自家製の細麺を沸騰したお湯で1分茹でます。

 

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カエシですが、今回は自家製の醤油麹と弓削多醤油を1:1で混ぜたものに、豆鼓醤を少し加えたもの。これをスープに配合します。

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猪スペアリブ+脂身と魚介乾物出汁のスープに、自家製中華麺を合わせ、トッピングは猪ロースチャーシュー、茹で芹、味玉と長ネギ。ついに完成です。

 

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このジューシーそうな猪チャーシュー。めちゃくちゃジューシーでおいしかったです。臭みはゼロ、脂はさっぱりしていて、長時間低温加熱した甲斐があってか、とにかく柔らかい。独特の味わいがあって、癖になる感じ。猪出汁も優しくて上品な風味でした。

 

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中華麺も思いの外うまくできて、小麦粉おいしいという感じ。自家製ラーメンがあまりにいい感じでできたので、このまま家庭での製麺とラーメン作りにはまってしまいそうです。

これまでの低温調理

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