ぶち猫おかわり

料理ときどきぶち猫二匹

雉チャーシュー入りの雉ラーメンの作り方

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ここのところ、冷凍庫(魔窟と呼んでいる)に雉が一羽分あって、そろそろ食べなければと気になっていた。雉ガラ(鶏ガラに相当するもの)も入っているので、スープも取れる。

それならばということで、雉でラーメンを作ってみることにしました。

雉スープを取る

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まずは、雉スープを取ります。スープをクリアに抽出するコツとしては、雉ガラの表面にこびりついている血や内臓等を取り除くとよい。そのときに流水でざぶざぶ洗うと旨みも流れてしまうので、手で引きはがしつつ、表面はさっと流すくらいにしましょう。

これを水と一緒に鍋に入れて、沸騰する直前の水面がゆらゆら揺れる程度の火加減で、2時間くらい炊きます。

 

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スープの臭みを取って、甘みとスパイシーな風味を加えてくれる香味野菜。

長葱の青い部分(冷凍しておいたものでもよい)、皮付きの生姜のスライス、にんにく丸ごと、あれば皮付きの人参を入れる。たまねぎやセロリを入れても味わいに深みが出てよいので、お好みで。

 

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香味野菜を加えてから、さらに1~2時間くらい炊いたものがこちら。雉ガラについている肉は、触れただけでほろほろと崩れるほど。

粗熱を取ってからざるで濾しておきます。出汁ガラではありますが、雉肉とにんじんは食べられます。

 

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雉スープだけでもおいしいけれど、今回はもう少し手をかけて、魚介と乾物から抽出した出汁を合わせてダブルスープにする計画です。煮干し、昆布、鰹節、干しシイタケを水に浸して冷蔵庫で一晩寝かせたもの(いわゆる水出し)を、さっと沸騰させて一番出汁をひいておきます。

麺を打つ

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さて、麺も打ちます。材料は、2人分で強力粉(今回は「麺遊記」)250g、水100cc、かんすい2.5g、塩2.5g。加水率は40%です(粉250gに水100ccの割合なので)。かんすいは溶けにくいので、前日から水に漬けておくと作業がスムーズ。

 

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強力粉をフードプロセッサーに入れて撹拌し(粉をふるったのと同じ効果)、かんすいと塩を溶かした水を少しずつ加えながら、さらに撹拌します。

かんすいを加えると、白かった粉が黄色くなり、中華麺らしい香りがしてくる不思議。理科の実験っぽい工程ですね。

 

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全体が均一に混ざったら、ジップロックに入れて上からぎゅうぎゅう押してひとまとめにして、一晩寝かせます。コシの強い麺にしたい場合は、バスタオルで包んでから足で踏んでもいい。

 

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翌日、寝かせておいた生地をパスタマシンで好みの厚さに延ばします。いっぺんに薄くしようとせず、パスタマシンのメモリを調整して、少しずつ延ばすようにすると表面がつるっとしたきれいな麺帯ができる。太麺がよい場合には厚めに、細麺がよい場合には薄めに。

 

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最後に、パスタマシンにて切り分けたら、自家製麺のできあがり。

麺同士がくっつかないように、片栗粉や上新粉等を打ち粉としてふっておくとよいです。作ってすぐでも食べられるけれど、一晩以上寝かせたほうがより味わい深くなる。

雉チャーシューを作る

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せっかくなのでトッピングも作りましょう。

今回は、雉肉で作るチャーシュー二種。写真は、左がモモ肉、右がむね肉です。他に、砂糖大さじ1と塩小さじ1を溶かした水100cc、鷹の爪、月桂樹の葉を用意します。

 

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材料を全部ジップロックに入れて空気を抜き、できれば冷蔵庫で半日寝かせます。ブライニング(塩水漬け)という工程で、浸透圧を利用して雉肉の中に水分を補給することにより、この後に加熱して水分量が減っても相対的にジューシーに仕上がるという仕組みです。

 

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ブライニングした雉肉は、ジップロックから取り出して、肉の厚い部分に包丁を入れて均一にします。

 

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皮目が外になるようにくるくると巻いて、タコ糸でギュッとしばって円柱状に成形します。

 

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これを再びジップロックに入れて、66度の湯煎(温度は常に66度を維持する)に漬けて3時間以上加熱します。雉肉は高温で調理すると固くなって食感が悪くなるので、たんぱく質が変成するぎりぎりの温度で長時間加熱することにより、柔らかい状態に仕上げる目論見です。

なお、食品衛生の観点から65度より低い温度で加熱することは推奨しません。低温長時間加熱は、Anova Presicion Cookerその他の低温調理器具があれば便利ですが、がんばれば手動でもできます。

 

低温調理をする際の衛生管理については、こちらの記事がとても参考になります。

magazine.shokuikuclub.jp

また、当ブログで関係のありそうな過去記事は以下です。

buchineko-okawari.hatenablog.com

 

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66度で3時間以上加熱したもの。温度は厳格に守ったほうがよいですが、時間は多少長くなってもあまり問題ありません。

 

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全体に火は通って柔らかそうですが、皮のクニュッとした質感がいまいちなので、ここからさらに表面を焼いていきます。準備としては、バットの上に濡らしたキッチンペーパーと金網を置いて、タコ糸を取り除いた雉肉を並べます。

 

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表面を調理用バーナーで思い切りよく炙ると、表面が香ばしく色づいて、めちゃくちゃおいしそうな匂いがします。ここが今回の調理のハイライトだったかもしれない。

 

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並行して作った半熟味玉。沸騰したお湯の中に冷蔵庫から出したての卵をおたまでそっと入れて、7分30秒加熱してから、冷水にとって殻を剥いて、白だしに半日漬けたもの。漬けるときはジップロックにいれると白出汁を節約できます。傷みやすいので必ず冷蔵庫に入れること。

 

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左から、雉ももチャーシュー、味付け卵、雉むねチャーシューのそれぞれ断面です。すごくジューシーにできあがっており、期待が高まる。

スープのブレンドと味付け

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さて、そろそろ仕上げです。今回は、雉の風味を生かすために塩ラーメンにしようということで、塩だれを準備。白出汁の中に、三種類の塩(ゲランドの塩(海塩)、国産の海塩、ネパールのピンクの岩塩)をブレンドして飽和するまで溶かしたものを用意しました。スープは、雉出汁と魚介乾物出汁を半量ずつブレンドし、味を見ながら塩だれを溶かして温める。

完成

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自家製麺を茹でて、ブレンドしたスープに浸し、雉肉チャーシュー、半熟味玉、メンマ、青菜(今回はルッコラ)と海苔をトッピングしたら、雉ラーメンのできあがり。

 

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低温調理した雉肉チャーシューがめちゃくちゃ柔らかくジューシー!雉肉を柔らかく食べるためには、低温調理が有効であることが分かりました。また、雉出汁が上品で最の高。ぷりぷりっとした自家製麺との相性もよい。

今回も全工程1日半くらいかかり、町のラーメン屋さんの偉大さとありがたさを痛感することとなりました。

 

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繰り返しになりますが、雉出汁が最の高なので、スープの味付けを薄めにして、麺を食べ終えたあとはご飯を入れて雑炊っぽくして食べるのがお勧めです。

こちらからは、以上です。

#死なない杯

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