9月に読んだ漫画の感想です。相変わらず遅いのですが、感想を書かないと読んだこと自体を忘れそうなので書きます。
1. 羽海野チカ『3月のライオン(13)』
久々の新刊は、わたしの推し棋士である島田八段の渋さ、かっこよさがこれでもかと詰め込まれていて最高でした。有名になりすぎて賛否両論ありますが、やはり名作だと思います。
2. 押見修造『血の轍(1)』
3. 施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ(上)』
『バーナード嬢曰く。』の施川ユウキの最新作。
不老不死ゆえの無邪気さ残酷さと無垢さ。
4. 山本ルンルン『サーカスの娘 オルガ(1)』
大人のお伽噺。
5. つくみず『少女終末旅行(5)』
文明崩壊後の世界を「ケッテンクラート(表紙にも載っている小型装軌式オートバイ)」に乗って旅する少女二人の静かな物語。5巻では二人が旅を始めたきっかけが語られるとともに、物語は少しずつ不穏さを増して、そろそろ終わりに近づいているような寂しさも感じる。少女二人のキャラクター造形のうまさはもちろん、廃墟となった街並みの描き込み具合もたまらなく好き。
今アニメも放映されているのですが、非常に良くて思わず、Netflexで公開されている話をすべて観てしまいました。特に、原作者のつくみず氏が手がけているエンディングのアニメーションは必見。
6. スケラッコ『大きい犬』
住宅街に住む文字通り「大きな犬」と犬語を解する会社員の交流を描いた表題作のほか、「ふつう」の中にほんの少しの「不思議」を織り交ぜて作られた短編集。絵柄のセンスのよさが圧倒的。ゆるやかに読者の予想を裏切りながら展開する物語も優しく面白く、次作もとても楽しみ。
7. 大今良時『不滅のあなたへ(4)』
高い知能を有する地球外生命体が知らぬ間に人間の社会に入り込んでいた、というクラッシックなSFに見られるモチーフを美しい絵柄で丁寧に綴った物語。毎回一筋縄ではいかないキャラクター造形とストーリー展開が見事。最初は癖の強さが気になった登場人物たちがみな最後にはとても愛おしく感じられる。
これを週刊連載でやっているなんて一体どうなっているのか……。
8. 阿部共実『月曜日の友達(1)』
阿部共実の新作は、不器用な中学生二人のぎこちなくも切ない物語。主人公二人のあまりの不器用さに最初は軽いいらだちを覚えてしまうのに、いつの間にか感情移入して、胸をぎゅっと掴まれてしまう。続きがとても楽しみな一作。
9. おがきちか『Landreaall(30)』
中世ヨーロッパ風の異世界が舞台の本格ファンタジーの30巻。少女漫画と侮るなかれ。30巻に至ってもマンネリに陥ることもなく、楽しめる物語に仕上がっているのは本当にさすがとしか言いようがない。
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10. 大童澄瞳『映像研には手を出すな!(2)』
映像研究会と称してアニメ制作に没頭する女子高生の青春活劇。3人が作り出す豊かな物語世界に胸が高鳴る。一巻も素晴らしかったけれど、二巻もまた素晴らしくよい。
11. 出水ぽすか,白井カイウ『約束のネバーランド(5)』
"食糧"として育てられていることを知った子ども達が孤児院から脱出を企てるダークミステリ。展開がスピーディーで目が離せない。一つ謎が解けた先にまた新しい謎が仕込まれていて、あとで初めから読み返すのも楽しみ。
12. 大武政夫『ヒナまつり(13)』
宙から来た謎の生命体(女子高生)「ヒナ」となぜかヒナの面倒をみることになったヤクザ新田を軸にしたシュール系ギャグ漫画。ベタなギャグ漫画なのに、毎回きっちり面白いのでつい読んでしまう。13巻の最後では、まさかの新展開が示唆されて先が気になります。
13. 勝木光『ベイビーステップ(46)』
テニスに興味のない人でも面白く読めるテニス漫画の傑作「ベイビーステップ」の46巻。プロ編に入ってからは、今までのように調子よく勝てず、フラストレーションの溜まる展開が続いていましたが、そろそろ苦労の成果が出る局面へ。この緩急のつけ方のうまさ、そして選手双方の心理と戦略を丁寧に描く手腕は本当にすばらしい。
14. つばな『惑星クローゼット(1)』
女子高校生が夢で見た異世界に紛れ込み、そこで出会った同世代の少女とともに奇怪な怪物と戦うという「百合×SFサバイバル」。とにかく二人の少女がとても可愛いのに、怪物はちゃんとグロテスクで世界観もしっかり作り込まれていて、物語としてとてもおもしろい。続きが楽しみ。
15. 久野遥子『甘木唯子のツノと愛』
アニメーション作家でもある久野遙子の描く短編集は、他の作家にはない独自で不思議な世界観があり、引き込まれる。
16. 忌木一郎,押切蓮介『妖怪マッサージ(1)』
妖怪が客としてやってくるマッサージ屋を舞台とする、今のところ一話完結のドタバタコメディ。娯楽作としてよくできていて楽しめました。
17. 鷹野久『バスキュレ(1)』
何層にも連なる塔から成る国家を舞台に、上層に住まう支配階級の「兎」と下層に住まう「狼」の物語。絵柄とキャラクター造形が魅力的。まだ1巻なのでストーリーにはわからないところが多いけれど、あちこちに伏線と思われるエピソードが仕込まれていて、それがどのように回収されていくのか楽しみ。
18. 森本梢子『アシガール(9)』
体育会系の女子高生が戦国時代にタイムトリップして足軽として戦に参加するうちに大名の若君と恋に落ちるという、 説明すると荒唐無稽な設定としか言いようがない物語ながら、キャラクター設定とストーリー展開の絶妙さでぐいぐい引き込まれてしまう。そろそろ完結を迎えそうで、楽しみながらも一抹の寂しさも感じるところ。
19. 椿いづみ『月刊少女野崎くん(9)』
少女漫画家である男子高校生、野崎くんと彼に恋する同級生千代ちゃんを軸にした「学園もの×漫画家もの」ラブコメディ。毎回きっちり面白いので、つい9巻まで読み続けているのですが、そろそろ二人の仲が進展してもよいのではないかと思っています…。
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20. 山下和美『ランド(5)』
"四ツ神様"に監視され50歳で死ぬ運命の人々が暮らす前近代的な箱庭世界を巡るSF。箱庭世界である「この世」で産まれ、幼少時に引き離された双子の姉妹が物語のキーとなり、世界の謎を解き明かしていく。ゆっくりと解き明かされていく謎と、それを知ったときに二人の姉妹がどのような決断をするのか、目が離せない。
21. 梅田阿比『クジラの子らは砂上に歌う(10)』
世代宇宙船を思わせる巨大な島船"泥クジラ"にて砂の海を旅する人々の物語。萩尾望都を思わせる作風だけれどもう少し現代風でポップ。絵柄がとにかく美しく切ない。
22. 佐竹幸典『魔女と野獣(1)』
邪悪な「魔女」とそれを狩る「野獣」の物語。グロテスクな表現のあるダークファンタジー。とにかく絵が上手で戦闘シーンの迫力がよい。ストーリー展開にも工夫があり、なかなか楽しめた。
23. 阿倍野ちゃこ,天王寺キツネ『ワルキューレのキコ(1)』
現代日本を舞台に、異次元から襲来した「巨人族」と戦う力を持つとされるワルキューレ(葬送姫)であるとされ、世界のために戦うことを強いられた少女、姫子を主人公とするダークファンタジー。戦闘シーンの迫力が素晴らしい。絵がとてもうまい分、グロテスクな描写も厳し目なので、苦手な人は注意。ダークな要素が強いので、好き嫌いが分かれそうな作品ではある。
24. 菊池真理子『酔うと化け物になる父がつらい』
アルコール依存症の父と暮らした日々を綴った自伝的作品。可愛らしい絵柄だけれど、内容は非常にシビア。自らの体験を元に機能不全家庭を描く作品としては、作者の視点が客観的・自省的で読みやすく仕上がっていると感じる。
25. 三輪ヨシユキ,江藤俊司『終極エンゲージ(2)』
遠い未来、様々な異星人がひしめく宇宙を舞台に「地球女王決定戦」にて全宇宙を統べる王の妃を選ぶという設定を縦軸に、サイコパスっぽい王子(次世代の王)の旅と成長を描く物語。一巻を読んだときには今ひとつなんの話なのか、しっくりこなかったけれど、二巻では次第にテーマも見えはじめ、なによりヒロインの造形がうまく感情移入しやすいので読みやすくなった感がある。
26. コトヤマ『だがしかし(1)〜(8)』
読みそびれていた漫画をまとめて読んだシリーズ。寂れかけた街の駄菓子屋を舞台に描かれる、いわゆる日常もの。日常ものはあまり得意ではないのですが、途中で急にストーリーが展開し始めてから、先が気になって仕方がない感じになって最新刊まで読んでしまった。続きも楽しみ。
27. 竹内友『ボールルームへようこそ(1)〜(9)』
平凡な中学生、富士田多々良が社交ダンスと出会い、スポーツとしてのダンスにのめり込んでいく青春譚。最新9巻まで読んで、展開は少しゆっくりめ。白眉は絵の迫力で、ダンスシーンの迫力がすばらしい。キャラクターも魅力的。
28. 中村明日美子『同級生』、『同級生-冬-』、『同級生-春-』
優等生の佐条と茶髪の同級生、草壁の甘酸っぱいラブストーリー。分類としてはいわゆるBL(ボーイズラブ)でわたしは普段嗜まない領域なのですが、初々しい二人の恋物語は新鮮ですごくよくて続編も読んでしまった。普段BLを読まない人にもおすすめできる作品でした。
29. ヤマザキコレ『魔法使いの嫁(1)〜(8)』
前々から気になっていたので、新刊が出たのを契機に既刊を読みました。魔法使いのいる異世界に紛れ込んでしまった少女を主人公に、魔法の師匠兼将来の夫である異形の魔法使いとの交流を描いた物語。
この世界観が好きな人は絶対いると思うのですが、わたしは師匠である魔法使いのキャラクター像が掴みきれなくて、話に入り込めなかった感じがあった。
30. 草川為『世界で一番悪い魔女(1)〜(4)』
同業殺しで悪名高い大魔女(外見は美少女)のクインタと、若き天才教授(イケメン)のファンタジーラブコメディ。絵がうまくて世界観も作り込まれていると感じるものの、思わせぶりな伏線を張りつつ4巻まで来てもほとんど物語が進展しないのと、なんとなく「ドSな天才教授(イケメン)」というステレオタイプなキャラクターが苦手なので、わたしにはちょっと厳しかった。
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