ぶち猫おかわり

料理ときどきぶち猫二匹

2017年10月に読んだ漫画

『このマンガがすごい!2018』へ寄稿しました

このマンガがすごい!2018』が発売されまして、 今年はランキングへの投票に参加させて頂いた他、「各界のマンガ好きが選ぶ【オトコ編】」ページに個人的なランキングを載せて頂いたり、大好きな「メイドインアビス」のレビューページの執筆を担当させて頂いたりしました。

このマンガがすごい! 2018

このマンガがすごい! 2018

 

レビュー記事を書くために、『メイドインアビス』を1巻から読み返したのですが、やはり素晴らしい作品だと思います。何度読んでも涙がこらえきれないシーンがいくつもある。キャラクターがみんな愛おしい。

メイドインアビス(1) (バンブーコミックス)

メイドインアビス(1) (バンブーコミックス)

 

それから、時間と習慣がないという理由で観ない予定だったアニメ版もつい視聴したのですが、原作に忠実に作られていて、素晴らしく美しかったです。つい夢中で全話見てしまった。Blue rayも出ていますし、続編の製作も決まったようなので、今後も楽しみですね。

メイドインアビス Blu-ray BOX 上巻

メイドインアビス Blu-ray BOX 上巻

 

さて、ここからは淡々と2017年10月に読んだ漫画の感想を綴っていきます。

1. 入江亜季『北北西に曇と往け(1)』

アイスランドの地方都市を舞台に、17歳の「車と話のできる」青年・御山慧が探偵として謎に迫る、入江亜紀の最新作。期待を裏切らない美しくセンスのよい画面構成と魅力的な登場人物、そして不穏なストーリーが織りなす、心の奥底をひっかくような不協和音が心地よい。

北北西に曇と往け 1巻 (ハルタコミックス)

北北西に曇と往け 1巻 (ハルタコミックス)

 

2. 吾峠呼世晴『鬼滅の刃(8)』

大正時代を舞台に「鬼」に家族を殺された少年・炭次郎が、鬼に変貌した妹の禰豆子を人間に戻す方法を探して旅する物語。第8巻では、炭次郎の師匠筋にあたる「炎柱」の煉獄杏寿郎の戦いを描く。正統派でありながら、新しさも感じる。これまでで一番熱く心に残る巻だった。
鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックス)

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックス)

 
鬼滅の刃 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

鬼滅の刃 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

3. 伊図透『銃座のウルナ(4)』

異世界を舞台に、女性兵士ウルナの戦いを描く戦記物の第4巻。前半では、辺境の雪深い島にて決行された苛烈な殲滅戦を経て、故郷に凱旋したウルナの日常が描かれる。それは躍動感に溢れて美しく、いつまでも物語世界に浸っていたい気持ちにさせる。一方で、後半には戦記物らしい冷や水を浴びせるような展開が待っており、この先物語がどのように収束していくのか、気になって仕方がない。

銃座のウルナ 4 (ビームコミックス)

銃座のウルナ 4 (ビームコミックス)

 

4. 鳥飼茜『先生の白い嘘(8)』

親友の恋人から性暴力を受けるも被害を申告できないまま、半ば強要される形で関係を続ける高校教師を主人公に、何も知らないまま結婚し男の子供を身ごもる親友、少しずつ壊れていく加害者の男、主人公の教師に恋心を抱く男子生徒、兄との確執を抱えたまま彼に恋の駆け引きを仕掛ける同級生などを巡り、現代日本における男女間の断絶について、ひりひりするような閉塞感と絶望と仄かな希望を織り上げて紡いだ物語の完結刊。

とても重くときに読むこと自体がつらい場面もあったけれど、最後に希望が見える展開になり少しほっとした。いろいろな意味で社会が過渡期にある今、このような作品が生まれたことにとても意味があると思う。

先生の白い嘘(8) (モーニングコミックス)

先生の白い嘘(8) (モーニングコミックス)

 

5. 浅井蓮次、沢田新『バイオレンスアクション(3)』

デリヘルを装ったウェブサイトから召喚できる「ゆるふわ系殺し屋」ケイの活躍を描く。ケイが完全無欠の強さすぎて、いわゆるリアリティはないのだけれど、ストーリー展開が非常にうまいのでストレスなく楽しめる娯楽作。えぐい表現が多めなので、苦手な方はご注意ください。

バイオレンスアクション 3 (ビッグコミックススペシャル)

バイオレンスアクション 3 (ビッグコミックススペシャル)

 

6. 椎野うみ『青野くんに触りたいから死にたい(2)』

初めての恋人「青野くん」を付き合って間もなく事故で亡くした、内気で一途でちょっと変わった少女優里は、ある日青野くんの幽霊が見えるようになってしまい、幽霊の恋人との不思議な共同生活が始まる。

1巻もすごかったけれど、2巻はさらにすごかった。青野くんの親友藤本くんや同性の同級生との交流を通して、主人公の成長と気持ちの変化を丁寧に描きつつ、時折現れる「黒青野くん」の悪霊たる描写はまさにホラーとしか言いようがない怖さ、一方で優里の青野くんを思う気持ちのピュアさに胸が苦しくなる場面もあり、それが一つの物語の中にぎゅっと詰まって全く矛盾せずに併存することの濃度と迫力が素晴らしい。次巻がものすごく楽しみ。

青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(2) (アフタヌーンコミックス)

 

7. 椎名うみ『崖際のワルツ』

青野くんに触りたいから死にたい』の連載で脚光を浴びる鬼才椎名うみの短編集。少数ながら、この社会のあり方に違和感を持つ人々の心象を鮮やかに炙りだし描き出す。特に表題作にもなっている『崖際のワルツ』が鮮烈。まさに狂気と理性の崖際で踊られるワルツ。

青野くんに触りたいから死にたい』の後にこれを読むと、作者が新作の連載で何を試みているのか、おぼろげながら分かってくる感覚がある。また、ここから『青野くんに触りたいから死にたい』に発展したことが奇跡のようにも思える。

崖際のワルツ 椎名うみ作品集 (アフタヌーンコミックス)

崖際のワルツ 椎名うみ作品集 (アフタヌーンコミックス)

 
青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス)

青野くんに触りたいから死にたい(1) (アフタヌーンコミックス)

 

8. 藤田和日郎『双亡亭壊すべし(6)

大正時代から取り壊すこともできず存在する化け物屋敷「双亡亭」を巡る「スペクタクル・モダン・ホラー」。6巻では、双亡亭の深部にたどり着いた探索隊の一行が、そこに巣食う奇怪な化物の目的に迫る。藤田和日郎らしい熱く手に汗を握る展開。ラストシーンに至る盛り上がりが素晴らしくて、次巻が待ちきれない。

双亡亭壊すべし(6) (少年サンデーコミックス)

双亡亭壊すべし(6) (少年サンデーコミックス)

 

 9. 田村茜『モブ子の恋(1)』

引っ込み思案で目立たない、いわゆる「モブキャラ(モブ子)」を自認する大学生の女の子を主人公にしたラブストーリー。ドラマチックな展開があるわけでもなく、分かりやすいライバルが登場するわけでもない。ただ、少女漫画におけるラブストーリーの「セオリー」を安易に踏襲せず、丁寧に物語を綴っているところに好感を覚える。絵もうまくて主人公+主人公の恋の相手がかっこよすぎないながらも、魅力的に描かれているところもよい。

モブ子の恋 1巻

モブ子の恋 1巻

 

10. 吟鳥子『きみを死なせないための物語(2)』

人間関係が規律に従って厳格に管理される「ユートピア≒ディストピア」社会を舞台に、社会の外から現れた不思議な少女に翻弄されるエリート新人類たちの恋と友情を美しい筆致で描く。

第2巻では、物語世界の残酷な「仕組み」がゆっくりと語られ、またタイトルの意味も明かされる。物語はこれから動き出すのだと思われるが、ここまででも既に興味深く面白いところがすごい。

きみを死なせないための物語 2 (ボニータ・コミックス)

きみを死なせないための物語 2 (ボニータ・コミックス)

 

11. 松浦だるま『累(12)』

謎の口紅を塗って口づけをすると相手と相貌が入れ替わるという設定をベースに描かれる、酷く醜い少女 累(かさね)が他者から奪った美貌を利用して女優としての才能を開花させていく物語。第12巻は、累の生命線ともいえる口紅の謎、そして出自に迫っていく展開で、正にクライマックス。

累(12) (イブニングコミックス)

累(12) (イブニングコミックス)

 

12. 堀尾省太『ゴールデンゴールド(3)』

『刻々』の作者の二作目。さびれた浜辺の町に突然流れ着いた、富と繁栄をもたらす怪しいフクノカミを巡る物語。第3巻では、フクノカミがもたらした富が町の人々の欲望を煽り、死を招き、不信感を募らせていく様がリアルに描かれる。一見ユーモラスなフクノカミが、時折ぞっとするようなおぞましさを見せる描写が素晴らしい。1巻ずつ読むのがもどかしい。

ゴールデンゴールド(3) (モーニングコミックス)

ゴールデンゴールド(3) (モーニングコミックス)

 

13. 朱戸アオ『リウーを待ちながら(1)(2)』

海外支援に赴いた自衛隊が期せずして持ち帰った病原体を端緒として、現代日本の一地方都市を舞台に、致死性のある感染症がアウトブレイクし、パンデミックの危機に陥る。その危機を現場の力で乗り切ろうとする女性医師を軸として、隔離されて追い詰められていく住民たちの姿を描く。

いわゆるパンデミックものなので、感染症に追い詰められる人々の心理状態を描く閉塞感が重く、決して読みやすい物語ではないが、主人公の医師玉木の凛とした強さに救われて、彼女の背を追うようにして2巻まで読んだ。

一点だけ、空気感染する伝染病のアウトブレイクが発生している町中や病院内を、マスクなしで立ち歩いている人が多い描写がちょっと気になるのですが、これはそういうものなのでしょうか。

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)

リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)

 
リウーを待ちながら(2) (イブニングコミックス)

リウーを待ちながら(2) (イブニングコミックス)

 

14. ツジトモ、綱本将也『GIANT KILLING(45)』

監督を主人公に据えたサッカー漫画の名作。45巻では、「東京ダービー」にて不世出のエース持田の活躍が描かれる。サッカーについては全く詳しくなくて、当初は仕事上の必要があり概要を把握するために、まずは漫画から入ろうと思って読み始めたのですが、今ではすっかりはまってしまっていますね……。

GIANT KILLING(45) (モーニング KC)

GIANT KILLING(45) (モーニング KC)

 

15. 梅田阿比『裸足で、空を掴むように』

『クジラの子らは砂上に歌う』の作者、梅田阿比の短編集。デビュー当初のものも含まれているので作風や絵柄にはばらつきがありますが、『クジラの子ら~』が好きな方は一読して損はないと思います。

ちなみに、わたしは前作の『幻仔譚じゃのめ』も結構好きです。絵柄の雰囲気が少し異なるのですが、ちょっと妖艶な伝奇ものです。

裸足で、空を掴むように 梅田阿比短編集 (ボニータ・コミックス)

裸足で、空を掴むように 梅田阿比短編集 (ボニータ・コミックス)

 
クジラの子らは砂上に歌う 1 (ボニータコミックス)

クジラの子らは砂上に歌う 1 (ボニータコミックス)

 
幻仔譚じゃのめ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

幻仔譚じゃのめ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

 

16. 高橋ツトム『NeuN(1)』

ナチス統治下のドイツを舞台に、人工授精によりヒトラーの血を継ぐとされる13人の子供が産みだされる。その1人であることを知らぬまま、地方の村で平和に暮らしていた少年ノイン(9番)は、突然ナチスに命を狙われることとなり、事態も把握できないままたった一人の警護者とともに流浪の旅に出ることとなる。

まだ導入部なので謎だらけですが、残酷描写もありつつ、画面とキャラクターがとにかくかっこいい。ところどころにちりばめられる伏線と思しき描写も興味深く、続きが気になる。

NeuN(1) (ヤンマガKCスペシャル)

NeuN(1) (ヤンマガKCスペシャル)

 

17. 山川直輝、朝基まさし『マイホームヒーロー(1)』

主人公は、妻子のいるミステリ小説マニアのごく普通の会社員鳥栖哲雄。一人暮らしをしている大学生の娘が同棲しているヤクザの男から暴力を振るわれていることを知り、娘を守るために男を殺してしまうところから話は始まる。

主人公とその妻はごく普通の風体で描かれながらも、殺人が警察に発覚しないよう、さらには犯行がヤクザにバレて報復を受けないように、ミステリ小説から得た知識を元に密かに死体を始末し、ヤクザたちにギリギリの駆け引きを仕掛ける。そのギャップとスリルにぞくぞくするような面白さがある。

マイホームヒーロー(1) (ヤングマガジンコミックス)

マイホームヒーロー(1) (ヤングマガジンコミックス)

 

18. 石黒正数『Present for me』

石黒正数のSF短編集。ファンなので定期的に摂取したくなってしまう。石黒正数らしい、冷静な視点とユーモアが絶妙なバランスで同居する良質な作品群。個人的には表題作の『Present for me』がとてもよかった。

Present for me 石黒正数短編集 (ヤングキングコミックス)

Present for me 石黒正数短編集 (ヤングキングコミックス)

 

19. 若林稔弥『徒然チルドレン(9)』

とある共学の高校を舞台に、恋愛をテーマとしてオムニバス形式で綴られる青春群像劇。全体的に爽やかで甘酸っぱくて、読んでいて楽しい気持ちになる。巻が進むにつれて、登場人物たちのつながりも明らかになって、恋愛だけでなく友情もテーマになってくるところも面白い。9巻は「修学旅行編」で、これまで登場してきた様々な登場人物たちが交錯する。個人的には、ミス・ワビサビのエピソードが好きすぎて悶える。

徒然チルドレン(9) (週刊少年マガジンコミックス)

徒然チルドレン(9) (週刊少年マガジンコミックス)

 

20. 田畠裕基『ブラッククローバー(1)~(13)』

読み逃していたものを一気読みしたシリーズ。いわゆる魔法の力で闇の世界と戦う異世界バトルものという少年漫画の典型的な世界設定ながら、泥臭くもまっすぐで共感しやすい主人公、クールなライバル、添え物ではなくきちんと成長が描かれるヒロイン、加えて脇を固めるキャラクターもみな魅力的で、すっかりはまってしまいました。続きが楽しみな一作。

ブラッククローバー 1  (ジャンプコミックス)

ブラッククローバー 1 (ジャンプコミックス)

 
ブラッククローバー 13 (ジャンプコミックス)

ブラッククローバー 13 (ジャンプコミックス)

 

21. 伊藤悠『シュトヘル(1)~(14)』

こちらも読み逃していたものを一気読みしたシリーズ。

主人公は男子高校生の須藤。夜な夜な見る戦場での凄惨な悪夢に引き込まれるように、舞台はチンギス・ハン統治下のモンゴル帝国へと移る。そこで、須藤は「シュトヘル(悪霊)」と呼ばれる、制圧された少数民族の不死身の女兵士となり、チンギス・ハンの血を引きながら、それと離反する皇子ユルールとともに、滅せられようとしている「西夏文字」を守るための旅に出る。

序盤は、タイムリープ描写とモンゴル帝国というなじみのない舞台設定もあり、説明が多めで入り込みにくいが、中盤から怒涛のようにうねりだした物語の波に飲み込まれ、圧倒的なラストシーンへとつながっていく。

時間があるときのまとめ読みをお勧めしたい一作。

シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

 
シュトヘル 14 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

シュトヘル 14 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

 

22. びっけ『王国の子(1)~(8)』

読み逃していたものを一気読みしたシリーズ。

中世ヨーロッパ風の異世界を舞台に、王位継承権を有しながら疎まれる若く聡明な王女とその影武者を任じられた少年を軸に、王位と権力を巡る権謀術数が描かれる。

美しい絵柄と魅力的な登場人物を軸に、引き込まれる物語。次巻で完結のようで待ち遠しい。

王国の子(1) (ITANコミックス)

王国の子(1) (ITANコミックス)

 
王国の子(8) (ITANコミックス)

王国の子(8) (ITANコミックス)

 

23. 二ノ宮知子『七つ屋志のぶの宝石匣(1)~(5)』

こちらも読み逃していたものを一気読みしたシリーズ。『のだめカンタービレ』の二ノ宮知子の最新作で、宝石の放つオーラを感じる力を持つ質屋の娘 志のぶを主人公に、婚約者であり宝石商の外商をする顕と、質屋に持ち込まれる宝石をめぐる様々な人間関係を描く。

登場人物のキャラクター造形、各エピソードの完成度、そして序盤から徐々に張られる伏線と謎、どれを取っても素晴らしくうまく、ベテランの凄みを見せつけられる。

七つ屋志のぶの宝石匣(1) (KC KISS)

七つ屋志のぶの宝石匣(1) (KC KISS)

 
七つ屋志のぶの宝石匣(5) (KC KISS)

七つ屋志のぶの宝石匣(5) (KC KISS)

 

24. 幸村誠『ヴィンランド・サガ(1)~(19)

『プラネテス』の幸村誠の最新作。11世紀初頭のヨーロッパを舞台に、アイスランドに生まれた少年トルフィンが、生きるためにヴァイキングと恐れられた傭兵団に加わり、凄惨な戦闘を生き延びた後、戦いのない新天地「ヴィンランド」への入植を夢見て旅立つ物語。

前半は、ヴァイキングたちの残虐な戦闘シーンが続いて、苦手な人にはちょっと厳しいかもしれない。しかし、その残虐で重苦しい場面があってこそ、キャラクターたちがそれぞれ著しく成長して自らの道を定めていく中盤以降の展開がより面白く興味深く感じられるのだろうと思う。重厚で読み応えのある歴史もの、戦記物である。

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンコミックス)

ヴィンランド・サガ(1) (アフタヌーンコミックス)

 
ヴィンランド・サガ(19) (アフタヌーンコミックス)

ヴィンランド・サガ(19) (アフタヌーンコミックス)

 

25. コージィ城倉『チェイサー(1)~(4)』

昭和30年代前半の日本を舞台に、同時代のスター漫画家である手塚治虫を勝手にライバル視して、空回りしつつも進んでいく少年漫画家 海徳光市の物語。

終始軽妙な語り口で、空回りしつつも努力を重ねて成功していく主人公を狂言回しにして、斜め後ろの角度から日本の漫画史や手塚治虫の人生を描いているようにも見える。

チェイサー(1) (ビッグコミックス)

チェイサー(1) (ビッグコミックス)

 
チェイサー(4) (ビッグコミックス)

チェイサー(4) (ビッグコミックス)

 

26. 押切蓮介『狭い世界のアイデンティティー(1)』

漫画家の卵たちを主人公に、メジャーデビューを巡る熾烈な戦いが押切連介風にディフォルメして描かれる。独自の世界すぎて、個人的には結構好きですが、どこまで皮肉が通じるのか試されている感もある。

狭い世界のアイデンティティー(1) (モーニングコミックス)

狭い世界のアイデンティティー(1) (モーニングコミックス)

 

27. おかざき真里『かしましめし(1)』

それぞれに「つらい事情」を抱える男女3人が、支え合うように集まって、一緒においしいご飯を食べて少し元気になる物語。特に、温かいご飯を一緒に食べることで気持ちがほどけていく場面の描写がうまく、作者の力量を感じる。

一方で、個人的には主人公たちが割と今の社会では普通の悩みを感じる等身大の男女すぎて、出てくる悩みや食べる料理もあまりにも普通すぎて、うまく共感できなくて疎外感を感じてしまった。しかし、これは私の内面の問題だと思う……。

かしましめし(1) (FEEL COMICS)

かしましめし(1) (FEEL COMICS)

 

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