2018年1月中旬に金沢と加賀山代温泉を旅してきたので、これはその記録です。最初に警告しておくと、むだに長いです。
東京駅から北陸新幹線かがやきで金沢へ
旅の始まりは金曜日の朝8時半、東京駅。出勤に急ぐ人々を横目に、我々は二泊分の荷物の詰まった鞄を手に新幹線のホームへ向かう。
最近あまり来ていなかった東京駅はさらなる進化を遂げて、異常にきらびやかな光景が広がっていて少し焦った。
北陸新幹線かがやきに乗り込み、まだ覚めきらないまま朝ごはんを食べて、そのままうとうとと居眠りをする。
目が覚めると、外はすっかり雪国になっていた。旅の直前に金沢には四年ぶりの大雪が降ったと聞いていたので、Amazonで急遽取り寄せたスノーブーツを履いていったので、抜かりはないのだった。これは東京に帰った後に降った大雪でも役に立ったのでよかったでした。
金沢駅のガラス製ドームと鼓門
駅構内のコインロッカーに荷物を預け、兼六園行きのバスに乗るために東口に向かう。金沢駅東口には「もてなしドーム」という微妙な名前のついたガラス製ドームがあって、名前の割には非常にきれいです。
その外側には木製の門もあって、これは鼓門というらしい。見上げるような大きさで迫力がすごい。
けんろく酒楽にて菊姫の試飲
兼六園入口のバス停にて降りて兼六園に向かうはずが、ついふらふらと交差点にあった「けんろく酒楽」なる酒屋に寄り道しました。石川の地酒や地ビールが幅広く取り扱われていて、いきなりいろいろ買い物をしたくなってしまう。
※ お店の方の許可を得て撮影しています。
店内では500円で試飲もできるようになっていて、まずは菊姫の冬季限定吟醸あらばしりを一献。独特の香りがありつつ、飲みくちはすっきりと爽やか。まだ旅は始まったばかりなのに、早速酔っ払ってしまったのでした。
雪の石川門と兼六園散歩
金沢城公園の石川門を右手に眺めつつ、最初の目的地の兼六園へ。
だいぶ前に出張のついでに一度だけ寄ったことがあるのですが、今回はなんと雪の兼六園です。写真は霞ヶ池のあたり。
国の特別名勝であり、日本三大名園に数えられているだけあって、隙のない佇まい。雪が残る園内は空気がすっきりと冷たいのですが、その静謐さとストイックな美しさが絶妙な相性のよさで、ずっと眺めていられる風情がありました。
瓢池(ひさごいけ)のほとり、海石塔(かいせきとう)の向いあたりに、赤い壁のお茶屋があり、ここでお昼ご飯を食べたりお茶を飲んだりすることができます。内装も北陸らしくてすてき。
運良く窓縁に座ることができると、季節の生菓子とお抹茶をいただきながら、席から瓢池を眼下に眺めることができます。池にせり出した作りになっているので、臨場感がすごい。
右側に立つ苔むした塔が海石塔で、正面の池が瓢池、左奥に見えるのが先ほどまでいた茶屋です。
ちょっとポップな石浦神社
兼六園を真弓坂口から出たところに、ちょっと変わった雰囲気の神社がありました。石浦神社という子宝と安産の神様のようなのですが、常設されているらしい露店も含めて神社らしからぬポップな雰囲気が気になる。
じっくり見る時間はなかったのですが、すぐ隣の兼六園とは全く違う空間の妙が興味深かったでした。この周辺だと、他に鈴木大拙館も行きたかったけど、時間が足りなくて無念。
生活雑貨の店「LINE」にて、冬の琥珀糖を買う
兼六園から金沢21世紀美術館の前を通って、大通りを進んだあたりにいくつか気になるお店があったのですが、一番好みだったのは、生活雑貨の店「LINE」。
アクセサリーも雑貨も好みのものばかりだったのですが、まだ旅も序盤で決めきれず、結局「しおや」さんの「冬のこはく糖」を一つ自分用に買いました。次は本腰を入れて訪れたいお店。
香林坊せせらぎ通りを散策
さらに徒歩にて、香林坊せせらぎ通りを散策。表通りは普通の道路で観光地っぽいお店も多いのですが、一歩裏通りに入ると写真のように風情のある街並みが続いている不思議。
本田屋食器店をチラ見。地元の作家ものという赤絵のお皿が気になったのですが、決めきれず断念。今思うと、この後に怒涛の勢いでうつわを買ってしまうので、このときセーブしておいて正解でしたね。
もう一つ、通りすがりに気になったのは、CAFE DUMBO. かわいい外観で、時間があればお茶を飲みたかった。
「ひらみぱん」にてランチ
もう少しだけ歩いて、お昼ごはんは「ひらみぱん」へ。前からインターネット界隈で噂を聞くことが多く、気になっていたのです。あと、各地のおいしいパン屋さんを知っておきたいという下心もあった。
ひらみぱんは、入口のパン売り場、レストランの内装、トイレに置いてある本のセレクトも含めて、めちゃくちゃ好きなお店でした。
ランチプレートは、鴨のコンフィ。他にジャガイモのスープとパン(お代わり可)がついてきます。プレートに乗っている様々なお惣菜がいろいろな味がしつつ全部おいしいのもよかった。パンも酸味と弾力が強い系で好みでした。また行きたい。
尾山神社をチラ見しながら、骨董きりゅうへ
お昼ご飯を食べた後、大通りから、ちらりと尾山神社を見ました。階段を上りたかったのですが、電車の時間を考えて断念。
次に向かったのは、駅からバスで20分ほどの金沢の骨董店きりゅう。東京でも福光屋さんの一部の店舗などで購入できますが、ここは住宅街の一角に何気なく現れるのに、中に入ると古いうつわのワンダーランドで、ものすごく興奮してしまった。30分のつもりが、気が付いたら1時間くらい経っていて、あれもいいがこれもよくて、しかしこういうのも捨てがたいという感じで頭がぐるぐるしてしまった。
購入したのは、金沢でよく見かけた胴がくびれた形の徳利。色使いを見るにおそらく古九谷風。この形の徳利は、日本酒を注ぐときにトクトクトクといい音がするんですよと言われ、実際に水を入れて試させてもらったら実にいい音がしたので、キュンと来て購入してしまいました。
あとは、染付と赤絵の素朴な小皿。東京ではめずらしい正方形、しかも使いやすいサイズ感、何よりも素朴な絵付けが好みでした。他にも気になるものはたくさんあったものの、まだ旅は初日、そして食器棚の空きはなしということで、断念して駅に戻りました。
特急サンダーバード号にて、加賀山代温泉へ
この日の宿は金沢市内ではなく、加賀山城温泉に取っていたので、駅で荷物を引き出してから特急サンダーバード号に乗車。夕暮れの中、列車に揺られながら雪の平原を眺めます。
30分ほどで到着。加賀温泉駅です。写真を撮っている間にも刻々と日が落ちて空が青くなる様がとても美しかった。
一泊目は、加賀山代温泉「あらや滔々庵」
宿からは駅まで迎えが来てくれて、15分ほど揺られて到着。一泊目の宿は、加賀山城温泉で一番古い宿だというあらや滔々庵でした。写真は翌朝撮影したものです。
予約を取るときに、予約サイトや旅行会社のサイト経由よりも、宿の公式ウェブサイトで取るのが一番リーズナブルで、温泉宿というイメージと違ってネット時代にちゃんと対応している!というちょっと違う方向性から好印象を受けたのでした。
間口は狭いのですが、中は広い。梔子色の暖簾が素敵。右手奥の竹から注がれている水は温泉で温かいのです。つまり豊かに温泉が湧いているということらしい。
北大路魯山人ゆかりの宿(加賀山城温泉に長期滞在していた時期があり、当時の当主が交流していた)とのことで、入り口奥には、魯山人作の大きな屏風が飾られていました。
宿泊した部屋は前田藩ゆかりの「御陣の間」という名前で、細部まで豪奢な部屋の作りに、本当にここに泊まっていいのか?と若干とまどう。
障子の形がかっこいい。うちにある古伊万里を写した平皿の形に似ています。
戸棚の表に金箔が貼られている。こういうの、古い建物を見学に行ったときに見たことがある。美しい九谷の赤絵の徳利をじっくりと観察できるのも素晴らしかった。
到着したら、お菓子とともに抹茶が提供される仕組みで、予想外だったので、本日二回目のお抹茶と相成りました。
館内着の浴衣と帯もすてきな柄で、男女兼用でこのテキスタイルと帯の合わせを選択できるのすごい。今まで止まった旅館で一番素敵な浴衣でした。何気なく畳の縁や障子の取っ手も素敵できりがなく見所がある。
室内には檜造りの浴室もあったのですが、これは入らずじまい。というのも、この宿は大浴場が素晴らしくて、三つもある上に20時で男女入れ替えになるので、全部で三種類いずれもとてもよいものでした。
広くて清潔なだけでなく、窓からの風景も素晴らしく露天風呂の風情もよく、壁に描かれた絵もすてきで、非常にリラックスできました。さらに、夕食前の時間帯には大浴場手前の廊下に、スパークリングワインと発泡酒が飲み放題の体でセッティングされていて、お風呂上がりの一杯を愉しめる仕組みになっており、こういうのを至れり尽くせりと言うのだなあと感心しきり。
さて、夕ご飯。あらや滔々庵は、食事がおいしいことでも有名らしい。1月ということで、まずは漆の杯で一献。日本酒を頼むと伝統的な九谷焼のお猪口と錫の酒器で供されます。
香箱蟹のポン酢ジュレかけ。九谷焼のうつわと相まって宝石のよう。
海老真薯のお吸い物と地物の魚の盛り合わせ。生の蟹身が甘くて蕩ける。
加賀山海の佳肴盛り。すなわち珍味ですね。初めてかぶら寿司を食べたのですが、さっぱりとしていておいしかった。使う魚は地方によって異なるものの、石川県ではブリを入れるそうです。
橋立港で水揚げされた加能蟹を、目の前で炭火焼にしてくれます。たっぷりの蟹味噌に香ばしく焼けた身をつけて食べるのもおいしい。本当においしい蟹は、炭火で芯がほんのり温まってレアくらいの調理具合で食べるのがよいことを学びました。
雲丹玉〆みぞれ餡かけ。雲丹の茶わん蒸しのようなものです。みぞれ餡なのか……という静かな感動。
デザートはくだものと抹茶アイス。この時点でもうお腹いっぱいだったのですが、最後に出てくる抹茶アイスの味が知りたい一心で全部食べました。好奇心で食事をするタイプなので仕方がない。大満足でした。
満腹すぎて一時間ほど部屋で休憩したのですが、この宿には明治初期に建てられた有栖川山荘という離れがあり、夜はバーになると聞いたので、好奇心に負けて出かけました。渡り廊下は完全に外なので寒かった。しかし雰囲気はすばらしくよい。
長い年月を経た美しい建物の中にこのようなバーがあり、満腹ゆえにデザートワインを一杯だけ飲みました。緩やかに音楽が流れていて、素敵な場所でした。これまでに訪れた場所のどこが一番好きだったか(決められない)などという話をしました。
加賀山代温泉の街歩き
翌朝、まだ寝ぼけているうちに宿の目の前にある「古総湯」へ出かけました。宿泊したあらや滔々庵の周辺は「湯の曲輪(ゆのがわ)」と呼ばれているのですが、古総湯は湯の曲輪の中心部に建てられた、明治時代の大衆浴場を再現した入浴施設です。あらや滔々庵に宿泊すると割引で入浴券を購入できる上、浴衣でそのまま出かけることもできて便利。中の写真はありませんが、浴場にはステンドグラスや九谷焼のタイルが貼られていて美しく、お湯が熱いので起き抜けに入ると目が覚める効果もあります。
朝ごはんはもちろん和食です。昨夜食べ過ぎたので、ご飯は少な目にしてもらいましたが、どのおかずも美味で、再び少し食べ過ぎてしまった。
一旦チェックアウトした後、荷物を預かってもらい、加賀山代温泉の街を散歩します。写真は、あらや滔々庵の売店です。売店とは思えない外観。実際に売っているものもすてきで、わたしはここで美濃焼のお皿を買ってしまいました。
「女生水」と呼ばれる湧水が祀られるお社。観光名所のようですが、なかなか素敵。
すぐ近くにはあらや滔々庵が運営するうつわ屋である「うつわ蔵」があります。このお店も品ぞろえがとてもよかった。旅館の作業が忙しい日中帯は閉店してしまうという商売っけのなさなので、営業時間に注意が必要です。
ここで、山本長左さんのお猪口を買ってしまいましたね。藍九谷で有名な山本長左さんはこの近くに住んでいるそうで、他にも作品が充実していて目の保養でした。
そこから数分のところにある須田青華窯。ここの品ぞろえもなかなかで見ているだけでも楽しかった。
お昼は、徒歩圏内にある亀寿司へ。週末はランチでも予約でいっぱいになってしまうので、事前に連絡を入れた方が無難です。
何と言っても魚がおいしく、九谷らしいうつわも美しく技術も洗練されていて、さすが加賀山代温泉の鮨屋だとしか言いようがなかったです。大満足でした。
「はづちを楽堂」と呼ばれる界隈。小さな池とお土産物屋、レストランなどが立ち並んでおり、風情があります。池では鯉が密集して寒さをしのいでいました。
古総湯のすぐ近くにある足湯です。無料で入れる。後ろに構えている、機械設備的なものが大仰でかっこいい。
星のやが運営する界加賀という旅館の入口。古い温泉旅館を買い取って改装したものらしい。加賀山代温泉らしさがあって、なかなかよい。
「魯山人寓居跡 いろは草庵」へ。北大路魯山人が加賀山代温泉に滞在したときに寄宿したという山荘で、魯山人に関するちょっとした博物館のようになっています。
ほんのりと紅い内装が加賀らしい。よい雰囲気です。展示室では魯山人の来歴の他に作品も見ることができます。
さらにお茶を頼むこともできて、加賀棒茶を飲みながら庭を眺めるのもまたよいものでした。
いろは草庵の向かいあたりに服部神社という立派な神社があります。寺社仏閣及び建物好きは見ておいて損はない。
渋い雰囲気なのですが、きちんと整備されており、おそらく雪よけと思われる仕組みなど東京の神社とはまた違う趣があります。
さらにその隣りにあるのが薬王院温泉寺。お寺なのに、紅色がふんだんに使われた華やかな雰囲気です。服部神社の境内とつながっていて、そのまま見に行くこともできます。
建造物の色合わせが素晴らしく美しい。加賀山代温泉に行くならば、ぜひ見ておきたいところです。
その後、温泉街のメインストリートと思われる界隈をぶらぶら散歩。べんがらやは品揃えや雰囲気が好みでなかなかよかった。
道を一本入ったところにある春日神社は、服部神社や薬王院温泉寺と違って観光地として管理されていない普通の神社なので、本当に神様が暮らしていそうな気配がして個人的にはとてもよかったけれど、そういうのにそれほど興味がない人がわざわざ行く必要まではなさそう。
加賀山代温泉で会ったもふもふさん。寒い地域は、野に暮らす猫も長毛なんだなと思った。
真菰ヶ池。今回のぶらぶら散歩の終点ですが、驚くほど水が緑色で青空がきれいに反射していた。河童が棲んでいても不思議はない雰囲気。
裏に少し入ったところに、ブロカントを扱うと思われるおしゃれな雑貨屋があって不意を突かれる。Noenthという。古道具はセンスのいいものをリーズナブルな値段で置いてある。他に服飾雑貨など。東京にあったらたびたび行ってしまいそうな品揃えだった。
すだに酒店は、表から見ると普通の酒屋なのですが、地酒の品揃えがよい。角打ち的なこともやっていて、Kiss of Fire や菊姫の大吟醸をグラス500円で飲めたりするので、酒好きは立ち寄るとよい場所だと思う。
二日目の宿は、べにや無何有
二日目の宿は、同じ加賀山代温泉のべにや無何有です。国民宿舎のような宿を改装して新しく作られたものだと聞いていたのですが、その名残は殆ど感じられない、モダンで清潔な雰囲気の宿でした。
予約した客室(洋室)は少し変わった作りになっていて、倉庫のような扉を開けるとまずはコンクリート打ちっぱなしの階段があり、これを登る必要があります。
登りきったところに水場があり、お茶が飲めるようになっていた。
洋室なので、室内にはベッドがあり、天井まで届く大きな窓の外には広いテラスが広がっています。
このテラスにハンモックを吊ることができると聞いたので、早速依頼して吊ってもらいました。一度やってみたかったやつです。
思っていたよりも不安定で、上に乗るにはコツがいります。また冬なので寒い。でも日が暮れたあとに、毛布に包まってハンモックにゆらゆらと揺れながら夜空を眺めていると、宙に浮いているような不思議な開放感があって、とても気持ちよかった。しかしそのまま眠ると確実に冷えて風邪をひくので注意が必要です。
テラスの右側は露天風呂になっています。露天風呂付きの客室というやつです。べにやの大浴場は一箇所で入れ替えなしだったので、夕食後に夜空を見ながら一回入り、朝起き抜けにもう一回入りと、だらけながら二回も露天風呂に浸かることができて満足でした。
食事は別棟にあるレストランへ行くことになります。エレベーターを降りると正面になぜか池があった。
レストランは天井が高くて、開放感のあるモダンな作り。
夕食の献立です。使っている食材は加賀山代温泉の定番らしく、前夜のあらや滔々庵とほぼ同じですが、結論からいうとアプローチが全く違うので、その違いがとても楽しめた食事になりました。
酒器は華やかな九谷焼。右上は、香箱蟹のジュレがけですが、氷が敷き詰められた重箱に詰められているという演出が面白い。右下は温物。黄色いのは慈姑だそう。おそらく梔子で染めているのだと思いますが、分量は少なめで素材の味を活かす工夫が凝らされていると感じました。見た目もモダンです。
能登牛の山椒焼き。そういえば、金沢に来て牛肉をちゃんと食べるの初めてかも。山椒を丸のままソースにする方法は今度やってみたい。
締めはお寿司。鮪、アコウ、喉黒、雲丹ですが、特に白身魚が素晴らしかった。昨夜の夕食とも甲乙つけがたいおいしいごはんを頂きました。
この宿は、ゆっくりと何もしない時間を楽しむことがコンセプトだそうで、バーはないとのこと。夕食後は部屋に戻り、ハンモックに揺られたり、露天風呂に入ったり、夜食として届けられた海苔巻きを食べてお茶を飲んだりしてのんびりしているうちに、いつの間にか眠ってしまいました。
翌朝、同じレストランで朝食です。和食なのですが、献立が豪華。
最初に出てくるフレッシュジュースは、勧められるままに三種類頼んでしまった。どれもその場でミキサーに掛けているらしくて、本当にフレッシュ。
蒸し野菜は梅だれと胡麻だれの二種類の好きなものを選ぶ仕組み。白ご飯もおいしくて、非常に満足感の高い朝ごはんでした。
そして、宿の売店にて、山本長左さんの五角皿を買ってしまったのでした。夕方に見つけたときは一枚しかなかったのですが、親切にも蔵元に問い合わせをして、翌朝には在庫を取り寄せてもらえたので、そこから二枚選ばせてもらい、無事に購入することができました。端正な筆使いの藍九谷の美しいことときたら。大切にします。
金沢に戻り、金沢21世紀美術館へ
最終日は、東京に戻る前に再度金沢の町を散策する計画。今回は主にバスを使う予定なので、北鉄バス1日フリー乗車券を買いました。現地の公共交通機関を使う旅が好きです。
最初に向かったのは、金沢21世紀美術館です。金沢に行くならば絶対に訪れたかった場所の一つ。
建物自体も近未来的で美しいのですが、入館しなくても周囲に様々なモニュメントが設置されていて楽しめます。
写真写りも不思議なオブジェ。
恒久展示作品のレアンドロ・エルリッヒ「スイミング・プール」は、工事中で外側からしか見られなかった。本当は下から覗くことができるのです。しかし上から眺めるだけでも割と満足できた。
www.kanazawa21.jp展覧会はちょうど「ジャネット・カーディフ & ジョージ・ビュレス・ミラー」のインスタレーションをやっていたのですが、不穏な音色と入り組んだ造形、そしてメディア技術がふんだんに盛り込まれた作品は怖ろしいほどに情報量が多くて、一瞬別の世界に連れて行かれたかと思うくらいの衝撃でした。すばらしかった。
わたしは特に「キリング・マシン」、「小さな部屋のためのオペラ」、「マリオネット・メーカー」が好き。このタイミングで金沢に行けて本当によかった。
ミュージアムショップにて、かわむらの甘納豆詰め合わせを売っていたので、ラッキーと思って買いました。自分用です。
その後、金沢21世紀美術館の裏手にある本屋「Books under the Hotchkiss」へ。金沢での暮らしを可視化するというコンセプトの展示「金沢百歩」を見に行きました。
二階の展示フロアの壁一面にフライヤー。
反対側には、金沢のマップと各所で行われている人々の「行為」が描かれています(=可視化)。これを見てから金沢観光をしたかった気持ちがありますが、この展示は前日からだったので、叶わぬことでした。また次回です。
一階の本屋部分に置かれた本は割とわたしの本棚と被るラインナップで、田辺京子さんの大皿とかスズキサトさんの小皿も置いてあって、一瞬頭がカーッとなったのですが、すでに相当数のうつわを購入済であることを思い出して、BUHオリジナルの琺瑯のマグカップを一つだけ買いました。
金沢といえば、金沢カレーということでいいですか
何か食べ逃したものはないかなと思案した結果、お昼は金沢カレーになりました。初体験です。金沢21世紀美術館から徒歩圏内にあるターバンカレーへ。
メニューにて勧められるがまま、Lセットと呼ばれるプレートを頼みました。ロースカツ(ソースがかかっている)、ウィンナー、ハンバーグと千切りキャベツがのっているカレー。やはり情報量が多い。眺めていたら、地元の人と思しき後続のお客さんの2/3がLセットを頼んでいたので、定番なのだろうと思いました。味はジャンクでおいしかったです。この、変な見栄をはらずに好きなもの全部のせちゃおう精神は結構好き。
東山ひがし茶屋街で乾物を買う
さらにバスに乗って向かったのは、ひがし茶屋街。いかにもな観光地(あまり興味がない)かもしれないと迷ったのですが、一応行くことにしました。
古い街並みが続く界隈です。このあたりで雨が激しくなってしまった。結果としては、古い町屋がアンテナショップのように利用されていて、割と観光地っぽい場所ではありました。
六本木や二子玉川のお店にお世話になっている福光屋も支店を出していました。ここは角打ち風になっていて、中で日本酒を飲めるしくみ。ひがし茶屋街店の限定品もありましたが、東京でも買えるものが多かったので、見るだけになりました。
兼六園そばにもあった酒楽がここにも。品ぞろえがなかなかいいので、お勧めではあります。
偶然出会った中でよかったのが「sayuu(左右堂)」。金沢の工芸品を扱う雑貨店です。わたしも使っている竹俣勇壱さんのカトラリーを始め、すてきなうつわやカトラリーが並んでいて、眼福でした。
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もう一店、少し離れたところにあった乾物屋のしら井。質実剛健な品ぞろえが非常に魅力的で店内を見て回るだけでも楽しく、思案の結果、お徳用の昆布切れ端大袋とミリン鱈を買いました。
浅野川大橋から見る街。この時間帯はパラパラと雨が降っていて空も荒れ模様でした。
主計町茶屋街を歩く。このあたりは飲食店街のようですが、まだ開いていないお店が多かった。
最後は近江町市場をのぞきましたが、残念ながら日曜の午後という時間帯には閉まっているお店が多くて本来の賑わいは味わえず。ここは前回も来たので、仕方なしというところです。加能蟹もありましたが、加賀山代温泉の魚屋の何倍もの値段でちょっと手が出なかった。市場内にあるスーパーの食材を眺めるのは楽しかったです。ここにいる間に雹が降り注ぐ時間帯があり、金沢の天気の変わりやすさすごいな……となりました。
おみやげは黒門小路を見たあとに、駅ビルの中にあったAガイヤというスーパーマーケットで地元の食材や日本酒を少しを買いました。金沢駅はおみやげを買う場所が充実しているので、最後に困ったときは駅に行けばよいという印象。
帰りは北陸新幹線にて、日本酒をちびちびと飲みスーパーで買ったお鮨を食べながら帰りました。楽しい旅でした。
今回自分用に買ってきた食べられる系のおみやげです。いしるは、烏賊で作ったものと鰯で作ったものがあり、味を比べてみたい一心で小さめのを二種類買いました。写真にはありませんが、菊姫の大吟醸を買っている人もいた。
ミリン鱈は炙って食べるとおいしいらしいのですが、実際お酒がめちゃくちゃ進んでしまう味でした。また買いたい。
かわむらの甘納豆も、甘すぎず豆の風味がしっかりとしていて、お茶請けにぴったり。しばらくは旅の余韻に浸って過ごそうと思います。
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