さて、もう9月も下旬に入りましたが、記録が重要ということで、6月に読んだ漫画を記録しておきたいと思います。
1. 椎野うみ『青野くんに触りたいから死にたい(1)』
初めてできた恋人「青野くん」を付き合って間もなく事故で亡くした、内気で一途でちょっと変わった少女優里は、ある日青野くんの幽霊が見えるようになってしまい、幽霊の恋人との不思議な共同生活が始まる。
不器用で初々しい優里と青野くんの物語は、ラブストーリーのように切なくありつつ、絶妙にシュールでときどきホラー。この話は一体どこへ行くのか、どうなってしまうのか、続きがとても楽しみな一作。ネットでも話題になった第一話は無料で読めます。
試し読み:
青野くんに触りたいから死にたい / 椎名うみ - アフタヌーン公式サイト - モアイ
2. ゆうきまさみ『白暮のクロニクル(11)』
現代吸血鬼譚の完結刊。前巻にて解決したかに見えた「羊殺し」の最奥の真相を紐解いて、パズルの最後の一ピースがぴったりとはまる気持ちのよさを味わわせてくれる。
しかし、なによりも11巻まで読んで来てよかったと感じるのはラストシーンの切ない余韻。過剰な演出をしないゆうきまさみの作風だからこそ、この何気ないシーンが苦しいほどに胸にしみるのだと思う。
3. 冨樫義博『HUNTER × HUNTER(34)』
ジャンプ系の漫画が今一つ肌に合わない(自分の性格に問題があるのだと思う)わたしでもハンターハンターは面白い。最新刊も面白かったし、次の刊も楽しみ。
4. 大今良時『不滅のあなたへ(3)』
毎巻、安定した面白さ。基本的にはファンタジー系SFだと思うのだけれど、とっつきにくさはゼロで読みやすい。しかも、ところどころ謎と伏線が張られて先が気になる仕組みもうまい。
5. 吉田基已『官能先生(1)』
以前からのファンなので久々の連載が単行本化したとあって購入。吉田基已の描く女性の色っぽさと男性のみっともない純情さは他には見られない魅力だと思う。
6. 花田陵『デビルズライン(1)~(9)』
「何で今まで知らなかったのだろう」と既刊を一気読みした。設定としては『白暮のクロニクル』と同じく現代吸血鬼譚なのですが、受ける印象は対照的で、残酷な描写もあり、切ない恋愛パートもあり、解き明かされる謎もあり。
作者はこれが初連載ということで、ところどころ設定に甘さを感じるところもあるけれど、そんなことも気にならないくらい、エモーショナルな展開とナイーブなキャラクターの魅力にぐいぐい先を読まされてしまう。
今続きが最も気になる作品の一つ。
7. 池辺葵『プリンセスメゾン(1)~(4)』
これも「なぜ今まで読んでいなかったのか」と既刊一気読みした作品。現代日本を舞台に、居酒屋で働く20代女性(沼越さん)が理想の家を探して奔走する様を主軸に、沼越さんを巡る人々を描く群像劇。
キャラクター一人一人が魅力的で優しいけれど、決して甘くも説教くさくもなく、読後感がとてもよい。読んでいると理想の家を探したくなってしまう。
8. 吾峠呼世晴『鬼滅の刃(1)~(6)』
これも「何で今まで知らなかったのだろう」シリーズ。大正時代を舞台に、「鬼」に家族を殺された少年・炭次郎が、鬼に変貌した妹の禰豆子を人間に戻す方法を探して旅する物語。
絵はまだそんなに上手ではない(これからものすごく上達しそうな気配はする)のですが、とにかく奇抜なキャラクターが魅力的。あと、ストーリーもよく練られていて読みごたえがあります。
9. 手塚治虫,ゆうきまさみ,カサハラテツロー『アトム ザ・ビギニング(4)~(6)』
『鉄腕アトム』をベースに、その誕生までを描く前日譚。ときどきまとめ読みしています。安定した面白さで楽しめる。
10. 岩明均『ヒストリエ(1)~(10)』
なんとなく読みそびれていたやつ。のちにアレキサンダー大王の書記官となる「エウメネス」という歴史上の人物を主人公として、史実を描く物語。世界史の時間に習った内容がいきいきと描かれる様は圧巻で、さすが熟練の技としか言いようがない。
11. 田村由美『7SEEDS(34)』
少女漫画の巨匠、田村由美のいわゆる「ポスト・アポカリプス」もの。巨大隕石の衝突により文明が滅亡した未来に、冷凍睡眠技術を駆使して送り込まれた若者たちのサバイバルを描く。
絵柄は少女漫画風ですが、何十人もの登場人物を巧みに描き分け、次々に迫る危機を乗り越えていく息もつかせぬストーリー展開は、ハリウッド映画を観ているような良質なエンターテイメント。既に刊行されている次巻(35巻)で完結なので、今からまとめ読みするのもありです。
12. 白井カイウ,出水ぽすか『約束のネバーランド(4)』
"食糧"として育てられていることを知った子ども達が孤児院から脱出を企てるダークミステリ。展開がスピーディーで目が離せない。4巻もとても面白くて先が楽しみ。
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13. 吟鳥子,中澤泉汰『きみを死なせないための物語(1)』
『アンの世界地図』の吟鳥子の新作は、若かりし日の萩尾望都や佐藤史緒を思わせつつ、現代風の味付けもされた本格SF. 人間関係が規律に従って厳格に管理されるユートピア≒ディストピア社会を舞台に、社会の外から現れた不思議な少女に翻弄されるエリート新人類たちの恋と友情を美しい筆致で描く。
一巻はまだ導入だけれど、十分におもしろい。続きが楽しみ。
14. 松浦だるま『累(11)』
謎の口紅を塗ってキスをすると相手と相貌が入れ替わるという荒唐無稽な設定をベースに描かれる、醜い少女・累(かさね)の物語。女優としての累の成長と口紅、そして口紅を累に残した母・誘(いざな)の謎が交錯して、先が気になって仕方がない。実写映画化おめでとうございます。
15. 吾嬬竜孝『鉄腕アダム(1)(2)』
一言でいうと「村上春樹っぽいSF」。またはちょっとエヴァっぽくもある。すっきりとした線のおしゃれな絵柄で淡々と描かれる、宇宙から飛来する謎生物と人類との戦いの軌跡。しかし、その裏には陰謀が渦巻いており、個人的にはかなり好きです。
16. 江藤俊司,三輪ヨシユキ『終極エンゲージ(1)』
ジャンルとしては、SFバトルもの?遠い未来、様々な異星人がひしめく宇宙を舞台に「地球女王決定戦」(天下一武闘会みたいなやつ)にて全宇宙を統べる王の妃を選ぶという設定を縦軸に、サイコパスっぽい王子(次世代の王)の旅と成長が描かれる?のだと思われる(たぶん)。ストーリーについては細かく書くとネタバレになってしまうけれど、一話ずつがよく練られていておもしろい。あとヒロイン(表紙の左側)が可愛くて賢くてよい。
17. 柊ゆたか『新米姉妹のふたりごはん (1)~(3)』
梅本ゆうこさんの再現を見て気になっていた作品を既刊一気読み。親同士の再婚で、姉妹として一緒に暮らすことになった女子高校生二人が、一緒にごはんを作って食べるうちに仲良くなる話。特にシュールさもダークな部分もなくて、ごはんもおいしそうで楽しめます。
18. ムサヲ『恋と嘘 (1)~(6)』
結婚相手を国が指定する制度が確立された近未来を舞台とするラブコメディ。ミステリ的な要素もあるけれど、ほぼラブコメでいいと思う。絵がすごく可愛い。ストーリーとしては、張られているように見える伏線が最後にちゃんと回収されるのか、ちょっと心配ではある。
19. 弐瓶勉『NOiSE』
前月に、『人形の国』や『BLAME!』の読み直しをしたので、弐瓶勉成分を補給したくなり読んだもの。ファン的には当然満足でしたが、初めて弐瓶勉に触れる場合には、『人形の国』か『シドニアの騎士』あたりから読んでください!!
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20. 勝木光『ベイビーステップ(45)』
高校生からテニスを始めた主人公がプロになり、成長していく様を描くテニス漫画。スポーツ漫画はあまり読まないのですが、これはすごく上手に作り込まれていて、テニスのルールが分からなくてもスポーツにそれほど興味がなくてもエンターテイメントとして楽しめます。いつの間にか45巻も読んでしまったのか…。
21. 山田胡瓜『AIの遺電子(6)』
AIの遺電子の第6巻。基本的に同じ世界観と狂言回し的な主人公(+αの登場人物)を置きつつ、一話完結の短編集のような趣。なんというか、教科書的な作りでストレスなく読める。個人的には、そろそろ少し変化があるといいなと思ったりもしている。
22. 飯田ぽち。『姉なるもの(1)』
普段は読まない分野なのですが、Amazonがめちゃくちゃ勧めてくるので買ってみた。クトゥルフ神話の女神である【千匹の仔を孕みし森の黒山羊】シュブ=ニグラスを召喚して、自らの姉となることを願った身よりのない少年と、その「姉」(姉なるもの)の物語。設定はおどろおどろしいけれど、割と平和でセクシーなお姉さんが可愛いコメディっぽく、ところどころ切ない気持ちにもなる。
23. めいびい『結婚指輪物語(5)』
なんとなく絵柄が好きで読んでいるものの続きですね。ファンタジーですが、割とふわっとした設定で、出てくる女の子がみんなかわいい。
24. 堀越耕平『僕のヒーローアカデミア(1)』
おもしろいと聞いて5巻くらいまで頑張って読みまして、絵もうまいしキャラもしっかりして、話も緩急がついてよいのですが、なんとなく自分にはあまり合わなかった。これはわたしのほう(性格など)に問題があるやつだと思います。
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25. 鴨鍋かもつ『魔王の秘書(1)』
ドラクエ的な世界を舞台に、さらわれて魔王の秘書となった理屈っぽくて有能な人間と、意外と人が良くて憎めない魔王を巡るコメディ。
26. tugeneko『上野さんは不器用(1)』
高校を舞台に天才発明家?の上野さんが、片想い中の田中くんの気を惹くためにちょっとえっちな発明品を披露するという一話完結もの。えっちというか、下ネタ寄り。絵は可愛いのですが、うーん、わたしにはちょっと合わなかった。
27. 森山絵凪『この愛は、異端。(1)』
悪魔べリアルを召喚し、自らの人生と引換えに自由を手に入れた少女淑乃とその傍らに常に在る悪魔べリアルの物語。表紙を見てのとおり、画力がものすごい。内容は少しエロチックなラブコメディ? あまりない雰囲気なので、特にこの絵柄が好きな人にはとてもいいと思う。わたしは特にコメディ部分の波長が合わない感じがしてむずかしかった。
以上です。
あまり遅くならないうちに、7月分と8月分も書きます。たぶん。
参加しています
過去の漫画感想
buchineko-okawari.hatenablog.com
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