ぶち猫おかわり

料理ときどきぶち猫二匹

2019年 夏の終わりの流し麺会

今年も夏の終わりの流し麺会をやりました

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今年も夏の終わりに流し麺会をやりました。

流し麺会とは、「いろいろな麺を茹でて、流しそうめん的に流しながら、いろいろなつゆに付けて食べる会」です。気が付けば、もう5年くらい毎年開催しているイベントですね。今年の参加者は約30人でした。

この記事には、会の公式カメラマン(勝手に認定している)であるOKPさんから提供頂いた写真を一部使わせて頂いています。また、流し麺会のメインビジュアルのイラストは、 金沢詩乃さんに依頼して描いて頂きました。

moognyk.hateblo.jp

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主催が用意するのは、会場、麺を流す装置、流す麺(これは参加者も適宜持参)、麺をつけて食べるつゆとその他のおつまみ、飲み物。

会場の設営や片付けは、参加者で協力して行います。

流し素麺の流し台を自作する

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去年は、流し素麺の流し台をプラスチック段ボールで自作したのですが、いまいち気に入らなかったので、今年はもっと非日常的な雰囲気にしたいなと思って、とりあえず東急ハンズに買い出しに行きました。

 

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イメージは、中空を色とりどりの素麺がするする~と流れていく感じ。ごく薄いプラスチック板670mm×1440mmを縦に三等分にカットしてもらい(670mm×480mmが3枚になる。)、アクリルのリングをはめるとなんとなく想像に近い雰囲気になりました。

 

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白いプラスチック製の脚を組み合わせたのがこちら。一瞬いい感じに見えるのですが、プラスチックリングが重くて不安定、脚の強度が足りなくてたわむ、脚を束ねているゴムが弱くて広がってしまうなど、欠陥だらけで実用に耐えるものになりませんでした。これでは水を流したら、即崩壊してしまう。

しかし、もう参加者は招集してしまったので、なんとか形にしないわけにはいきません(そうなのか?)。

 

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まずは脚の改良。おしゃれさは諦めて、ホームセンターで購入した材木(すごく丈夫)を麻ひもでがっちりと縛りました。流し素麺中に参加者がうっかり触っても簡単には倒れないくらいの強度が確保できました。

 

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プラスチック板のほうは、とにかく軽くするためにアクリルリングを諦め、熱を加えて直接成型する方向性に。家族の協力も得て、家にあったヒートガンでプラスチック板を温めた後に筒に差し込んで押さえて、丸くカーブを付けていきます。

 

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そのような創意工夫の元に出来上がったのが、こちら。透明なのでちょっと見えにくいのですが、材木でできた脚の上に成型したプラスチック板を二枚つなげてのせて、連結部分を透明なテープで補強しています。のせているだけですが、多少の風にも耐える強度にできあがりました。

 

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会場のテラスには水道の栓がないので、きれいな水を貯めた大鍋から、バスポンプ(浴槽のお湯をくみ出すためのポンプ・当然ですが流し素麺専用)を使って、流し台に給水するしくみです。終点には竹ざるをのせたバケツを置いてあり、途中でキャッチされなかった麺を受け止める構造になっています。

 

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実際に素麺を流しているところ。加熱により表面がいびつになったことで、火の光をキラキラと反射して美しい仕上がりになったように思います。あきらめなくてよかった。実用面でも問題はありませんでした。

実際に流れている模様です(音が出ます。)。

流し素麺というのはかなり不思議なイベントで、素麺を流して食べることに特に合理性はなく、むしろ手間や衛生面を考ればそのまま食べたほうがいいわけですが、それをわざわざみんなで集まって協力して設営して、流さなくてもいい麺をあえて流して食べるという、「よく分からないむだっぽいことをみんなで一生懸命やる」こと自体に開放感があって、毎年なんだかとても楽しかった!という記憶に残るイベントになっているように思います。

素麺のつけダレについて

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さて、ここからは当日の料理です。

大人数が集まるホームパーティーの料理は、ぼんやりですが「参加者同士のコミュニケーションの助けになり、あとで思い出になるようなインパクトのあるメニュー」をテーマにしています。

今回は、流し麺なので全体的に参加型のイベントではあったのですが、中でも「松茸すき焼き麺」と「豚肉レタスしゃぶしゃぶ麺」は、材料だけ用意して現場で参加者に仕上げ作業をしてもらう点で、一番参加型といえるメニューでした。

 

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一品目は、ウェルカムスープ。さつまいも(シルクスイート)を玉ねぎと一緒に蒸し煮にして牛乳を加えたポタージュ。冷製にして、上に刻んだいちじくをのせました。これから旬のさつまいもと、そろそろ旬の終わるいちじくを組み合わせた、夏と秋が交錯する狭間のスープです。

 

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今回流した麺のみなさん。さらに追加の麺や当日の差入れ等もありました。

 

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参加者の協力を得て、現場でどんどん茹でて流します。注目が集まったのは、このみつあみ麺。編んだままゆで上がるのか?と話題でしたが、茹でているうちにほどけてしまったそうです。それはそうか。

 

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すだち素麺。市販のそばつゆにスライスしたすだちを加えた爽やかなつゆです。すだちはしぼらなくても浮かべているだけで十分につゆに風味が移ります。定番のつゆの一つ。

 

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こちらも定番になりつつある、冷やし豆乳担担素麺。豆乳入りの坦々スープ(辛さ控えめ)に自家製の肉味噌と半熟ゆで卵をトッピングする仕組みです。

 

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こんな感じで、キャッチした麺にスープと肉味噌、卵を盛り付けて食べます。

 

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冷や汁素麺。鰹節でとっただし汁に、鯖缶の中身を焼いてほぐしたもの、胡瓜と茗荷をたっぷり入れて、焼いた味噌で風味を付けています。こちらも魚や薬味を変えながら、うちの定番になりつつあります。

 

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グリーンカレー素麺。毎年カレー系のつけ汁を用意するのですが、今年は素麺と相性がよさそうだなーと思い、グリーンカレーにしました。スープは市販のもの。カルディで買いました。具は、低温調理した鶏むね肉、焼いた茄子、たけのことしめじです。

スープをコンロで温めておいて、にゅう麺的に頂きます。

 

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松茸すき焼き素麺。夏の終わりに近所のスーパーに海外産の比較的リーズナブルな松茸が売られているのを見て、みんなが集まる会なら一人あたりの負担は少ないし、「流し素麺をやりにきたのに、なぜか松茸すき焼きを食べた」というシチュエーションが面白いのではと思い、始まったメニューです。毎回好評なので、毎回用意する感じになりました。

 

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やりくり上手なので、会費内で牛肉もちゃんと和牛を用意しました。

 

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予め用意した材料を会場で調理して食べるスタイル。この臨場感も会が楽しくなるポイントなのでは?と思っています。今回は、主にOKPさんが作ってくれました。

一応、作ったすき焼きは麺に絡めて食べるという建前になっています。

 

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白トリュフオイル素麺。おいしい素麺には、シンプルに白トリュフオイルをかけて食べてもおいしいのでは?と着想して準備したメニューです。オイルを買うだけで調理の手間がないという主催側のメリットもあります。

これも自分用に買うには高いし持て余しそうだけど、みんなで割り勘にすれば1人あたりの負担は少ないし、変わった食材を試す機会ができておもしろい点で、松茸すき焼き麺と同じタイプのメニューかもしれません。

 

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胡麻シマアジ素麺。福岡名物だという「ごまさば」を(生食できる鯖が入手できないので、)シマアジに替えて作ったものです。生の海鮮を素麺に合わせるのは結構難しいのですが、胡麻を合わせることでつゆとしてかなりいい感じに機能したのではないかと思います。実際は、酒の肴として消費されていたという噂もありますが……。

r.gnavi.co.jp

 

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豚肉レタスしゃぶしゃぶ素麺。調理酒を加えた水の中で、豚肉、レタスとセロリをしゃぶしゃぶして、煎り酒にごま油を加えたタレを垂らして食べます。

 

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こちらは、食べる人が自ら調理するスタイル。特にセロリの香りがアクセントになっておいしい。薬味に用意した赤柚子胡椒を添えてもいいです。

 

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こんな感じで、肉と野菜のエキスが溶けだしたスープもちょっと加えてにゅう麺的に食べます。

 

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湯葉うに素麺。とろみをつけたそばつゆに湯葉を浮かべ、雲丹とわさびをのせて食べる素麺つゆです。「めしにしましょう」に登場した絹かけ丼を素麺のつゆにアレンジしてみました。

めしにしましょう(1) (イブニングコミックス)

めしにしましょう(1) (イブニングコミックス)

 

  

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これも現場調理タイプでしたが、直感では調理方法が分からないものだったため、わたしが作業しました。雲丹は、ムラサキウニとバフンウニの二種類。少しずつ食べ比べができるしくみです。

 

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麺にかけたところ。ベースがそばつゆなので、意外と問題なく麺にも合いました。よかったですね。作り方は過去記事にあります。

buchineko-okawari.hatenablog.com

その他のおつまみについて

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ここからは、おつまみ。ハンバーググラタン。バターで炒めた玉ねぎとしめじを市販のデミグラスソース缶に加えて軽く煮て、市販のハンバーグを埋め込み、とろけるチーズをのせて、180度のオーブンで20~30分焼いたもの。

HEINZ(ハインツ) デミグラスソース 290g×4缶

HEINZ(ハインツ) デミグラスソース 290g×4缶

 

 

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事前に準備できて、現場ではオーブンに入れるだけで完成し、かつ、焼きたてでおいしいということで重宝するメニューです。しかし、このハンバーグには、他の人が同じレシピで作っても同じ味に仕上がらない(らしい)という謎があります(なぜ?)。

 

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デミグラスソースハンバーグはさすがにおつまみだろうと思っていたのですが、現場では素麺のつゆとしても流通していたようです。素麺の懐が深すぎる。

 

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メイン?は、醤油麹漬け Tボーンステーキ。日常にはTボーンステーキを食べる機会があまりないので、会で登場したら面白いかな~と思って作りました。

肉を柔らかくしつつ味を浸透させるため、自家製の醤油麹に漬けて低温調理しています。詳しい作り方は過去記事にあります。

buchineko-okawari.hatenablog.com

 

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事前に低温調理をしておいて、現場ではオーブンで表面を焼くだけ。低温調理したおかけで、割と雑に仕上げても芯までほどよく加熱され、柔らかくておいしかった。

参加者の皆様のテンションもめっちゃ上がっていたようでなによりでした。

 

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最後に、参加者の方の差入れのスパイスカレー。本格的なやつでおいしかったですし、もちろん素麺にも合いました。もはや素麺にあわないつゆなんてないのでは?

 

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そろそろデザートかという頃に玉置さんが来てくれて、製麺のデモンストレーションをしてくれました。製麺機はわたしの私物、麺記事は前日に用意しておいたものです。自家製麺を流すことはかないませんでしたが、製麺体験+自家製麺のおみやげ付きの会になってよかったですね。玉置さん、ありがとうございました。

blog.hyouhon.com

デザートはかき氷

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デザートは、杏仁豆腐氷 黒糖タピオカ。杏仁豆腐氷は、市販の杏仁豆腐の素を凍らせてかき氷機で削ったもの。杏仁豆腐の味がしておいしい。

これに自家製の黒糖タピオカをトッピングしました。流行してから全然食べていませんでしたが、最近少し市場が落ち着いて、黒タピオカも買えるようになってきましたね。

黒糖タピオカの煮方については、過去記事にまとめてあります。

buchineko-okawari.hatenablog.com

 

かき氷機は、この数年前のモデルを使っていますが、レトロなのに電動なところにギャップが合っておもしろい。氷もきれいに削れます。

【2019年モデル】ドウシシャ 電動本格かき氷機 ふわふわ

【2019年モデル】ドウシシャ 電動本格かき氷機 ふわふわ

 

 

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という感じで、今年も無事に流し麺会を終えることができました。写真は差入れのお酒。参加者の皆様には、設営から運営、片付けまでたくさんの協力を頂き、ありがとうございました。

この会は、毎回会費制で、会場のレンタル代、麺を流す装置の材料費(レンタルする場合はレンタル代)、流す麺、つゆとおつまみの材料費、基本的な飲み物代(1人ビール1缶+αとソフトドリンク)が含まれて、1人3000円です。

お酒をもっと飲みたいな~という人にはお酒を持参してもらうことにしています。参加者数×会費の合計額が会場費と材料費の原価とイコールで、わたし個人にはプラスもマイナスも出ないことが目標です(どうしても直前キャンセルはゼロにできないので、若干の調整はしていますが。)。

準備は少し大変ですが、毎年終わった後は楽しかったー来年もやりたい!となるので、体力の続く限り、コツコツと続けていきたいと思います。


書籍が出ました

日々をたのしむ器と料理

日々をたのしむ器と料理

 

基本的には器の本ですが、各章の末尾に、特別な器具や調味料を使わないで簡単に作れるレシピを合計54個も書き下ろしました。リンク先に目次やページ見本もあるので、よかったら見て下さい。

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