イベリコ豚を2kgもらった
諸事情で、冷凍のイベリコ豚を2kgほど頂きました。スライスされたイベリコ豚が200gずつ真空パックされている(10パック分)ので、若干かさばるものの、一パックずつ解凍して使えるので家族が少ない人にはべんりな形態です。
せっかくこんなにあるので、どういう食べ方が一番おいしいのか、実験してみることにしました。最終的には7種類の方法で調理したので、順番にご紹介します。
1. ピェンロー鍋
まずは、ピェンロー鍋。舞台芸術家の妹尾河童が著書で紹介したことで有名になった、豚肉、鶏肉、白菜にごま油を合わせた冬においしい鍋ものです。
今回は、イベリコ豚のスライスを200g、鶏もも肉1枚(皮目をバーナーで炙ったもの)、白菜1/4個(太目の千切りにしたもの)、春雨(茹でたもの)を準備しました。
鶏もも肉は、予め水で湿らせたまな板の上に皮目を上にしておいて、バーナーで表面が焦げるまで焼きました。特に意味はなくて、ただバーナーを使いたかっただけです……。
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土鍋に干しシイタケと昆布で引いた出汁を張り、白菜の千切り(白くて厚い部分)、鶏肉とイベリコ豚を入れて、蓋をして全体に火が通るまで煮込みます。
肉の色が変わり白菜の芯が透き通ってきたら、胡麻油(色と香りが強いもの)をお玉に一杯ほど回しかけて、白菜の葉の部分をのせてから、再び蓋をしてしばらく煮込む。
茹でた春雨を乗せて混ぜ、仕上げにごま油少々を廻しかけたら、出来上がり。
味付けは、各自が取り分けた後、塩と七味で調整するのが妹尾河童方式だそうです。個人的には、醤油をちょっと垂らすのもおいしいと思った。
締めは、以前にマダラさんから頂いた熟成麺。予め茹でたものを肉と野菜のエキスが凝縮された汁に投入して、さらに溶き卵も加えて締め麺です。
これは最後に残ったスープがとても濃くておいしいので、スープごとずずっと食べるのがおすすめです。
2. イベリコ豚丼
次は豚丼を作ります。まずはイベリコ豚100gをパッケージのまま流水に晒して解凍したのち、フライパンの上にできるだけ重ならないように並べて表面をカリッと焼き付けます。このとき、砂糖大さじ1/2(きび砂糖がお勧め)を隙間に散らして、豚から出る脂で溶かしてカラメル状にするとコクが出てよい。
このときは、本しめじがあったので加えています。味付けは、みりん、調理酒と醤油をそれぞれ大さじ1。加えた後に強火にして沸騰させて水分を飛ばしながら肉にタレを絡めるようにします。
別に茹でておいたチンゲンサイと一緒に白ご飯の上に盛り付ければ、イベリコ豚丼のできあがり。油揚げのお味噌汁と一緒に。
こってりめのタレとイベリコ豚の脂の甘味の相性がよく、ご飯がすすむ丼です。
3. イベリコ豚しゃぶしゃぶ
イベリコ豚本来の味も楽しみたい、ということで三品目はシンプルに豚しゃぶにしました。合わせたのは、牛蒡、長葱、チンゲンサイと本しめじ。牛蒡はささがきにしたあと下茹でして、他のものはお肉に合わせて火が通るよう細く薄く切るほうがよいと思う。
卓上コンロにお鍋をセット。写真を見たら、この日は銀杏の塩煎りで日本酒を飲んだあとにしゃぶしゃぶをしたことを思い出した。
タレは二種類用意するのがうちの定番で、右は市販のゆずポン酢、左は毎回適当に作る自家製の胡麻ダレに大量のすり胡麻、自家製の葱辣油を入れたタレです。
一応豚肉なので、しゃぶしゃぶは菜箸で。さささっとお湯にくぐらせて薄いピンク色の状態で取り出します。
イベリコ豚の出汁で茹でた野菜と一緒に頂きます。脂が落ちているので、さっぱりしていておいしい。お肉の旨味で野菜が山盛り食べられる系の鍋ですね。
最後は卵雑炊にして。卵がまだ半熟の状態で火を止めるのがコツです。
雑炊自体にはあえて味付けをせず、余ったタレを少しずつかけて味を変化させながら食べるのがお勧めです。
4. イベリコ豚の野菜巻揚げ
揚げ物もやってみました。イベリコ豚の薄切りで野菜を巻いて、衣をつけて揚げるというもの。左から、長葱の千切り、湯がいたささがきゴボウ、紫蘇、千切りにしたしいたけです。レシピの原型は、有元葉子さんの揚げ物の本です。
この本は揚げ物レシピがすごくいいので、揚げ物が苦手な人や揚げ物をしょっちゅう演る人にはめちゃくちゃお勧めです。
小麦粉をつけて、溶き卵にくぐらせてパン粉を付けたタネを180度の油で揚げます。さすがに揚げ物中は危ないので、あまり撮影していませんね。温度は非接触温度計でざっくり測りながらやっています。
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できあがり。1人分です。すごいボリュームですが、中身はほとんど野菜なので意外と食べられます。どれもおいしくはありましたが、長葱の千切り、湯がいたささがきゴボウについては、一口では噛み切れなくて中身が全部出てきてしまうという構造的な欠陥が発見されたので、あまりお勧めできません。しそ巻きとしいたけ巻きは普通に食べやすくかつ美味しかったです。
この日の食卓。長なすを素揚げしてポン酢をかけたものがやたら美味しかった記憶がある。ソースにはすり胡麻を大量に入れていますね。あとは余った野菜を全部刻んで入れたお味噌汁と納豆でした。
5. イベリコ豚大根
和風もやるか、ということでイベリコ豚を大根と煮込んだもの。
手順を書くと、まずは大根をいちょう切りにして別の鍋で下茹で(水から加熱して全体が透き通るまで茹でる)し、並行してテフロンのフライパンに水50cc、醤油、みりん、調理酒を大さじ1を入れて沸騰させたところに二等分したイベリコ豚の薄切りを入れて色が変わるまで加熱したら下茹でした大根を加え、蓋をして10分ほど煮込んだ後、千切りにした生姜を加えて、全体を混ぜたら出来上がり。
彩りをよくする工夫として大根の葉を塩ゆでしてから刻んでかけました。この料理のポイントは、最後に強火にして調味料を沸騰させて煮詰め、食材によく絡めること。この工程で照りが出て見た目もおいしそうになります。
実際、脂が多めのイベリコ豚は柔らかいので煮物にも合う。もし時間があれば一度冷ますと大根の中心部までよく味が入ってさらにおいしいはずです。
6. イベリコ豚のメンチカツ
揚げ物をもう一つ、メンチカツです。イベリコ豚はキッチンバサミでざっくり切ったものをフードプロセッサーでミンチ状に。半量の玉ねぎみじん切り(敢えて大きめに切る)、にんにくみじん切り、上からホールのナツメグをゼスターグレーターで削りかけて、軽く塩胡椒して、全体をよく混ぜ合わせます。調理用手袋をして手で混ぜるとよい。
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丸く整形して、バッター液(卵1個、小麦粉大さじ4、水50ccを混ぜ合わせたもの)を付けてからパン粉をつけて揚げたところ。中心部まで加熱する必要があるので、揚げ油が160度になったところで入れて、10分から15分くらいかけて180度まで温度を上げながらじっくりと揚げます。
中はこんな感じ。家で挽いたので肉々しさが残っており、あと大きめに切った玉ねぎがジューシーでよかった。味はそれほどついていないので、ソースをかけて食べましょう。
この日の食卓は、メンチカツを作ったことで力尽きた様子がありますね。味噌汁に入れる油揚げの表面をバーナーでカリッと炙るのが流行っていた時期である様子も伺えます。
7. イベリコ豚のカレー的なもの
最後はちょっと変わり種。最近少しずつ試しているスパイスを使った料理です。厚手の鍋に菜種油を入れ、クミン、カルダモン、シナモン、月桂樹の葉、ブラウンマスタードシード等を加えて香りが立つまでゆっくりと加熱します。
別の鍋(テフロンのフライパン)にバターを入れて千切りの玉ねぎを焦げ目がつくまで炒めたのち、赤唐辛子、イベリコ豚をキッチンばさみで二等分したものを加えて炒め、先程のスパイスの鍋に合わせ、トマトペーストを少々、水200cを加えて15分ほど煮込んで塩とカイエンヌペッパーで味を整えれば完成。
これをイベリコ豚のカレーと呼んでいいのか、ためらわれるところです。正確には、イベリコ豚のトマトスパイス炒めという感じでしょうか。変わり種ですが、ご飯がすすむ美味しいおかずでした。真っ赤な唐辛子は一緒に煮込むだけではそれほど辛味はないのですが、直接齧るとものすごく辛いらしくて齧った人が悶絶していました。
以上、2kgのイベリコ豚薄切り肉を7種類の方法で食べきった顛末でした。
どれが一番お勧めかというと、手軽さと脂の旨味、柔らかさを堪能できるという意味ではイベリコ豚丼がよいかもしれません。個人的にはカレー的なものもよかった。
最後に
全く大晦日感のない記事ですが、これが今年最後の記事になりそうです。
今年一年ブログを読んで下さったみなさま、誠にありがとうございました。いつの間にか読者数が1000人を超えていて、一体誰が何の目的でこのブログを読者登録しているのか……?と訝しく感じていますが、好きでやっていることなので、来年も書きたいことを書きたいペースで書いていけたらと思っております。
みなさま、どうか良いお年をお迎えください。
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