新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、昨年書こうと思いながらも挫折した、うちのおせち料理に関するあれこれを今年こそ書いておこうと思います。なお、うちは二人暮らしなので特におせちを作る必要はないのですが、毎年趣味の一環として準備しています。
2018年のおせち料理、お刺身とお雑煮
今年の元旦のおせち料理の全景。わたしは東京の下町で生まれ育ったので、おせちのベースはおそらく関東風ですが、毎年少しずつ変えているので、割と独自の組み合わせになっていると思います。保存性よりも、ハレの日のごちそうとしての華やかさと食べたときの美味しさを重視しています。
一番参考にしているレシピ本は、有元葉子さんの「有元家のおせち作り」。定番のおせち料理の合理的なレシピがたくさん載っているので、入門編にお勧めです。冒頭に掲載されている作業カレンダーもわかりやすい。
今年新しく買ったのは、東京會舘のおせちの本。個人的には、粋なおせち料理が職人の技とともに詳細に掲載されていてとてもよかったのですが、分量や加熱時間がほとんど書いてないので、ある程度料理スキルがある人でないと厳しいかもしれません。
以下は、それぞれの料理の簡単な解説を書きます。
一の重
お重は、奥田志郎 六五重(丸文金箔付)の三段重です。
一の重は、左上から時計回りに、黒豆煮、蒸し鮑、慈姑煮、鴨抱身、金柑蜜煮、熨斗鶏を詰めました。
慈姑煮は、東京會舘の本に掲載されていた飾り切りを参考に切って、クチナシの実を入れた出汁で煮て黄色く煮付けたものです。
黒豆煮
黒豆のパッケージに書いてある通りの作り方で作っていて、特別なことはしていません。ポイントは、前日の夜に、煮汁(水1600ccにきび砂糖200g、醤油小さじ2、塩小さじ1/2、重曹小さじ1を加えたもの)を煮立てた中に洗った豆(今回は250g)を入れて十分に吸水させることと、当日は弱火で根気よく柔らかくなるまで煮ることです。
煮た当日よりも2〜3日経ってからのほうが、豆に甘みが浸透して美味しくなります。
蒸し鮑
蒸し鮑の作り方については、以前のレシピをご参照ください。出汁に漬けた状態で3時間ほど蒸すと本当にふっくらと柔らかくなっておいしいです。それほど長期間保たないので、31日午前中に作るのがいいと思います。
buchineko-okawari.hatenablog.com
今回は蒸籠を使いましたが、もう少し強力に加熱したほうがいい気がしたので、次回は鍋でガンガンに蒸す予定。鮑は近所のスーパーで買ってしまったのですが、御徒町の吉池に行ったらすごくいい状態の三陸産のアワビがリーズナブルに売っていたので、そちらで買えばよかったと若干後悔しました。
ともあれ、柔らかく蒸しあがった鮑です。汁に漬けたまま真空パックして冷蔵庫にて保存し、お重に詰めるときは、水分を切ってから一口サイズに切って殻にのせました。
鴨抱身
今年初めて作ったもの。鴨の胸肉を半分に切り、皮目に5mm幅の切れ目を入れてからフライパンにて皮目側のみを焼き色がつくまで炙ります。その後、ペティナイフにて鴨肉の中央にまな板に水平になるよう切れ目を入れて、醤油、みりん、調理酒に水(すべて20ccずつ)を加えてひと煮立ちさせた汁に漬けて、冷蔵庫で一晩寝かせます。
翌日、鴨肉の中央に開けた切れ目の中に、長葱の千切りに醤油少々と卵白を和えたものを詰め込んで、予熱したオーブンで180度20分、160度10分焼きます。
焼けたもの。下に吸水シートを敷いたタッパーに入れて冷蔵庫で保存します。
冷ましてからスライスしてできあがり。程よく味のついた鴨肉ローストの中央に長葱が薬味として挟み込まれている肴です。31日の日中に作りました。
金柑蜜煮
金柑蜜煮は、最近の定番。金柑は、皮を縦に六ケ所の切れ目を入れてから、沸騰したお湯で20分ほど茹でて、水につけて冷まします。冷ましながら、爪楊枝を切れ目に差し込んで種を取り除きます。
蒸籠にクッキングシートを敷いて、その上に茹でた金柑を並べて15分ほど蒸します。皮が柔らかくなり水気が抜けて、このあとの蜜の浸透をよくする効果があります。個人的な好みで上からちょっと潰して花模様風にしています。
200ccのお湯に100gの上白糖を溶かして、好みでグランマルニエを大さじ1ほど加えたシロップに、まだ温かい状態の金柑を漬けて一晩以上置いたらできあがり。甘くてちょっとほろ苦い、大人向けの肴です。
熨斗鶏
鶏挽き肉を400gほど用意し、半量はフライパンで鶏そぼろにして粗熱を取ってから、残り半分の生肉の中に混ぜ込んでハンディミキサーでよく混ぜ合わせます。このときに、醤油、みりん、調理酒、しょうが汁で下味をつけます。
型はお菓子用の18cm正方形のセルクルをアルミホイルで加工して、鶏挽き肉の生地をできるだけみっちりと詰まるようにゴムベラで押し込みます。
これを180度に予熱したオーブンで30分焼きます。表面が多少焦げていても気にしなくて大丈夫。
雪平鍋にみりん大さじ2、醤油小さじ1に信州味噌大さじ2を入れて、よく混ぜながら煮詰めたタレを作り、焼きあがった塊の上面に塗って芥子の実を散らしたらできあがり。
断面はこんな感じ。甘辛い味噌ダレが味のポイントです。
二の重
二の重は、左上から時計回りに、蛸の桜煮、和牛ローストビーフ、ひたし豆、和牛堀川巻、紅白かまぼこ、自家製からすみ、車海老うま煮、菊花ラディッシュ、数の子粕漬け、塩いくらを詰めました。このうち、紅白かまぼこと塩いくらは既製品です。
からすみの作り方は過去記事をご参照ください。
buchineko-okawari.hatenablog.com
菊花ラディッシュは、菊花かぶのアレンジです。紅白なのでおめでたいのと大きさがちょうどよいので、最近はもっぱらラディッシュで作っています。お正月なので金箔を散らしてみました。
蛸の桜煮
蛸の桜煮は、お刺身用の茹蛸を材料に、甘辛い汁に漬けた状態でAnovaを使って80度で4時間加熱したものです。とても柔らかくできます。詳しい作り方は過去記事をご参照ください。
buchineko-okawari.hatenablog.com
和牛ローストビーフ
和牛ローストビーフは、お正月という時節柄、小出しに使えるように小さめに切り分けて作りました。こちらもAnovaを使用。
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片方はお重に詰めて、もう片方は酒の肴にしようかなと思っています。詳しいレシピは過去記事をご参照ください。
buchineko-okawari.hatenablog.com
普通に切っておつまみにもいけます。
ひたし豆
おせちにひたし豆を入れている事例は見たことがないのですが、今年はちょうど手元に豆があり、かつ、三が日にはこういうあっさりしたものも食べたくなるような気がしたので入れてみました。
作り方は、乾燥の青大豆を前日から水に漬けて戻して茹でて、醤油と塩で味付けした出汁に漬けただけ。30日に作りました。
実際のところ、作ってあると箸休めにちょうどいい感じでした。
和牛堀川巻
東京會舘のレシピがベースです。用意するのは太めの牛蒡半分と和牛のスライス肉。牛蒡は四つ割りにしてから下茹でし、金平風に味付けして冷ましておきます。
巻きすの上に薄切りの和牛(軽く醤油をふりかける)、味付け済の牛蒡をのせてぎゅっと巻きます。
これを菜種油を塗ったアルミホイルでぴっちりと包んで、180度に予熱したオーブンで20分焼いてから冷まします。31日の午前中に作って、冷めてから冷蔵庫で保存。牛肉なので冷めてもおいしいです。
車海老の旨煮
車海老を、昆布鰹出汁、醤油、みりん、調理酒で味付けした汁で煮たもの。車海老は生きているものを入手して、生きたまま茹でるのがベストだと言われています(おそらく色が美しく出る。)。わたしは御徒町の吉池で買いましたが、築地でも売っています。もしこの方法に挑戦しようという場合には、茹でる前に氷入りの冷水に漬けると作業がスムーズです。
お重に詰めるときは汁気をよく拭き取ることが大事です。豪華に見えるので殻をつけたまま詰めてもよいですが、個人的には食べやすさを重視して尻尾以外の部分は剥いた状態で詰めています。
数の子の粕漬け
塩数の子は12時間ほど、水を替えながら3%の塩水に浸けて塩抜きをした後、酒粕に白味噌と信州味噌をそれぞれ1割と5分程度混ぜ込んだもので漬けます。漬けるときは、数の子をガーゼで包むと取り出すときにべんりです。
これは29日に作って、3日ほど漬けた状態でお重に入れましたが、一般的な調理法である醤油風味の出汁漬けとはまた異なり、味わいが複雑でお酒に合うのと色合いが美しいところがよいと思いました。
三の重 お煮しめ
三の重はお煮しめ。毎年あまり人気がないのですが、なんとなく縁起物なのでやめられない。来年はもう一工夫したいところです。詰めたものは、左上から、里芋、花れんこん、にんじん、手綱こんにゃく、牛蒡。今年は柚子の皮を散らしました。
にんじんの飾り切りは、はじめに梅型で抜いています。ここで出た野菜くずはローストビーフのソースに入れて煮るという再利用をしています。
包丁で立体感を出す飾り切りを施して、できあがり。
こんにゃくは薄切りにした後に、中央に縦に切り込みを入れて、いわゆる手綱こんにゃくに成形してから下茹でしています。
他の野菜も一通り下茹でした後に、昆布鰹出汁で柔らかくなるまで煮ます。作るのは毎年31日の夜です。
お刺身盛り合わせ
元旦にお刺身を食べることの是非については、保存が大変だし値段も高いので迷うところですが、ないと寂しいという気持ちの問題で用意しています。
今年は御徒町の吉池で30日に買った本マグロの赤身、中トロと真鯛、塩水うにを用意しました。マグロは変色が心配でしたが、吸水シートでぴっちり包んで真空パックしたら数日間はきれいな状態に保ててよかった。
真鯛は昆布締めにしています。すなわち、表面に軽く塩をしてから調理酒で柔らかく戻しただし昆布にのせて。
くるっと包んでラップでぴっちりと閉じてジップロックに入れて冷蔵庫で保存。今年は2日寝かせました。
お雑煮
お雑煮の出汁は、昆布と鰹。これに、梅の形に抜いた大根、蝶と瓢箪の形に抜いたにんじん、かまぼこ、焼き餅、小松菜とへぎ柚子が入ります。いつもは三つ葉も入れるのですが、今年は最後に面倒になってしまって省略。
わたしの実家と同じ方式のお雑煮なのですが、毎年お正月にいろいろなお雑煮を見ていると、うちのは割と具だくさんな方なのだな、少し減らしてもいいかなと思うようになりました。
お餅をのし餅と鏡餅に
お正月に食べるお餅は、年末にまとめて餅つき機で搗いています。前日の夜に研いだもち米2kgは水を張ったボウルに入れて、一晩かけて吸水させます。当日は、もち米と水を餅つき機にセットするだけです。
お餅は撞き上がった後の扱いが厄介なのですが、まだ機械が動いているうちに水100ccを入れ、すぐさま機械を止めて、クッキングペーパーをしいた琺瑯の平らな器に流し込みます。水の効果で内釜へのこびりつきが最小限に抑えられます。また、クッキングペーパーを敷くと流し込んだ器へのこびりつきも最小限にできます。
表面に打ち粉(片栗粉か米粉)をまんべんなくふって、30分くらい置くと上の方が固まってくるので、クッキングペーパーごと取り出して、スケッパーを使って餅をクッキングペーパーから引き剥がして裏返して、裏返した表面に再び打ち粉をします。
さらに30分くらいすると全体的に固まってくるので、スケッパーで好みの大きさに切り分けて作業完了です。なぜか包丁で切るよりもスケッパーで切るほうがこびりつきが少なくてラクです。餅がこびりついたオーブンシートは畳んで捨ててしまえばいいので、洗いものの負担も少なく済みます。
今年はふつうのお餅の他に、乾燥よもぎを茹でてハンディミキサーで粉砕したものを加えたよもぎ餅も作りました(冒頭とすぐ上の写真)。もち米が炊きあがって、これから搗き始めるというタイミングで投入します。
よもぎ餅を焼いて九州の甘口醤油に漬けて海苔で巻いたもの。香りがよくてとてもおいしかったので、来年以降も定番化したい。
ちょうど31日の夜に忘年会があったので、おせちで多く出来上がった黒豆と金柑を真空パックしたものに加え、白餅とよもぎ餅を組み合わせて真空パックしたものも持参して配ってみました。
黒豆と金柑はお店の配慮でその場で開けて食べたのですが、評判がよく割とすぐに売り切れてうれしかったです。
また、年末に餅つきをするときの楽しみといえば、自家製の鏡餅。搗き上がった直後の餅から少し取り分けて、丸めて乾かします。小さめの鏡餅に合うサイズの葉付きのみかんはよく探すとスーパーで売っています。
毎年手に入る材料で作るのですが、今年はシンプルに榊と葉付きのみかんにて。本当は裏白がほしいのですが、今年も入手は敵わなかった。
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それでもまあこんな感じで、なかなかかっこよくできたのではないかと思います。
今年のおせちとお正月のしつらえについては、以上です。
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