Anova Precision Cookerを使った低温調理の記録です。
「超級カツ」とは
超級カツとは、本日(11/22)発売の小林銅蟲「めしにしましょう」三の膳に登場する、予め低温調理を施した豚肉を巨大な塊のままトンカツにするという料理で、作中ではこれをさらにカツ丼に仕立てた「超級カツ丼」が最終形になっています。
詳しい作り方は、イブニング本誌の他にこのあたりとかこのあたりでも見ることができます。
今回は、この(カツ丼になる前の)「超級カツ」をヒレ肉で作ってみたいと思います。なぜヒレ肉かというと、わたしがロースカツよりもヒレカツの方が好きなため、そして、バリエーションがあったほうが後日の役に立ちそうだからです。
豚ヒレ肉の低温調理
そんなわけで、今回用意したのは豚ヒレ肉です。合計400gほど。これをまずは二つに切ります。
二つに切った理由は、丸のままでは絶対に揚げ鍋に入らないため、そして、片方を醤油麹漬カツにするためです。すなわち、予め醤油麹に漬けた豚肉を低温調理してから揚げたらおいしいのでは?と思ったのです。
レシピとしては、片方(左側)の豚ヒレ肉には重量の0.8gの塩をふり、もう片方(右側)の豚ヒレ肉には醤油麹を同量の料理酒でゆるめたものをまぶし、それぞれジップロックに入れて真空状態にして、冷蔵庫に一晩置きます。
醤油麹というのは、醤油と麹を混ぜ合わせて作る発酵調味料で、家でも簡単に作成できます。詳しくは過去記事をご参照ください。
buchineko-okawari.hatenablog.com
なお、低温調理では、高温調理ほどの加熱殺菌ができないため、この作業をする際にも雑菌が入らないよう、素手で肉を扱わない(使い捨て手袋をつける)、器具は熱湯消毒をするなど、衛生管理に気を付けて下さい。
翌日、塩又は醤油麹漬けにした豚ヒレ肉を、63度で2時間加熱します。
63度というのは、厚生労働省が豚肉を販売する際の加熱殺菌の基準を「
2時間としたのは、豚ヒレ肉は元レシピの豚肩ロース肉と異なり、脂身部分がほとんどなく、長時間加熱をする=脂身部分をゼラチン状に変性させる必要性が低いため、中心部63度30分加熱という厚生労働省の基準を確実にクリアできる時間があれば足りるとして設定しました。
低温調理が完了した後の牛ヒレ肉です。左側が醤油麹漬、右が塩のみ。この時点で醤油麹漬バージョンから異常にいい匂いがしてきます。このまま食べたい。質感も、醤油麹豚にはハムっぽさがありました。
揚げる際に水分があると危ないので、ペーパーナプキンを使って表面の水気や醤油麹を拭っておきます。
超級カツを揚げる
低温調理した豚ヒレ肉は、小麦粉→溶き卵→パン粉の順に衣を付けます。このとき、小麦粉と溶き卵は写真のようにビニール袋を使うと片付けが楽ちんです。
肉を小麦粉の袋に入れて揉む→卵の袋に入れて揉む→バットに入れてまんべんなくパン粉をつける(→卵の袋に戻して揉む→バットに入れてパン粉をつける)という感じで、カッコ内のセットを繰り返すと衣がしっかりと厚めに仕上がります。
こんな感じ。パン粉は手でぎゅうぎゅう押し付けるようにして、ちょっと強引かなと気が引けるくらいの圧をかけていきましょう。
こうしてみるとやはり大きい…。
揚げ油はなんでもいいと思いますが、うちは米油です。温度コントロールの観点からは鍋が重要です。わざわざ買う必要はありませんが、専用の揚げ鍋があるなら、それでやるほうがうまくいきます。カツの準備をしながら、油の温度を180度まで上げます。
元ネタの漫画では210度で揚げており、その方がエンターテイメント性が強くておもしろいのですが、心配性な人はわたしのように180度(ふつうの温度)でやっても十分いい色で揚がるので、向いているほうでやりましょう。
中が加熱済だと、揚げている最中に表面の揚げ色だけ気にすればいいので、非常に気がラクですね。
大きな塊が二個揚がりました。熱いうちがおいしいので、ここからは時間との闘いです。なので、揚がる前に千切りキャベツとプチトマトを用意してお皿に盛りつけておくとよいでしょう。
「超級ヒレカツ」のできあがり
一口サイズに切り分けて、お皿に盛りつければ、超級ヒレカツのできあがりです。
左が醤油麹漬カツ、右がノーマルカツです。ノーマルカツはほんのりピンクでじわっと肉汁が溢れてくる感じ。醤油麹漬カツは、もっちりときめ細やかな肌に醤油と味噌の中間のような独特の香ばしい香りがします。
中濃ソースwithすり胡麻、わさび塩のどちらかで食べる仕様にしました。あとはシンプルに炊きたてご飯とお味噌汁、つけあわせの千切りキャベツとプチトマト。
とにかく分厚いヒレカツ! ふつうバージョンのほうは、衣がカリッとしつつ、お肉はものすごく柔らかい。
前歯でさくっと噛み切れてしまう。そして、ジューシー。中濃ソースの濃さがすごく合う。ご飯が進むタイプのおいしさです。
醤油麹カツのほうは、一晩しか漬けていないのに麹がめちゃくちゃ仕事をしていました。
ハムのようななめらかな質感・とにかく柔らかい・味(というか旨み)が付加されている、というかんじ。こっちはお塩ほんのちょっととわさびをつけて食べるのが合いました。
もったいなくてカツ丼にできなかったのですが、次の機会には「超級カツ丼」もやってみたいとおもいます。
「現実とは出来事という糸で織られた織物です。」
めしにしましょうの三の膳は、シュールさと作った料理のおいしそうさの調和が絶妙で、かなり好きな回です。
他にも「めしにしましょう」の再現レシピとか、低温調理レシピとかやっております。
「めしにしましょう」の再現レシピ
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
これまでの低温調理
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com
buchineko-okawari.hatenablog.com