立ち呑みの名店、勝どき「かねます」の生うに牛巻き
東京都中央区勝どきに、かねますという立ち呑みの名店があります。立ち呑みなのに、高級食材をふんだんに使った料理が特徴で、比較的リーズナブルに高級和食を楽しむことができます。
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131302/13002243/
このかねますで有名なのが「生うに牛巻き」。その名の通り、たっぷりの生うにを紫蘇と一緒に牛肉で巻いたものです。和牛の脂と生うにの旨味が舌の上であわさって蕩けて、初めて食べたときは衝撃を受けました。
久々にまた食べたいと思うのですが、難点は待ち時間が長いこと。すっかり人気店になってしまい、予約もできないので、特に土曜の夜はかなりの長時間、屋外で並んで待つ必要があります。これは結構厳しい。
そこで、この「生うに牛巻き」の自作に挑戦してみることにしました。
生うに牛巻きの作り方
まずは、うにを調達しましょう。今回は築地で仕入れたロシア産の板うにです。海外需要の増加に加え、天候不順でまだまだ高値ですが、なんとか手の届くものを見つけました。後ろに見えるのは、活き締めのカワハギとクリガニです。
材料(二人前)です。
- うに 好きなだけ
- 牛肉(今回は和牛ザブトン) 200g
- 生わさび 1本
- しそ 4枚
低温調理するので、牛肉はきちんと衛生管理されているものを選んでください。塊肉で、ステーキ用やローストビーフ用として販売されているものが安心です。また、今回の料理の再現としては、サシの入った和牛がお勧めです。
なお、そもそもかねますの「生うに牛巻き」で使用されている牛肉(和牛)は生だと思います(実際に食べた感想)。細菌に汚染されている可能性のある表面のみを軽く焼くかトリミングした上で、中心部は生のままスライスし、うにを巻いているという手順です。
これを自宅でやれるかというと、完全に生食が可能な牛肉を購入できるルートがなく、正直厳しい。そこで、今回は、ステーキ・ローストビーフ用として販売されている(レアで食べることを想定して販売されている)牛肉を購入して、Anova Precision Coockerで、ごくレアに加熱した上で、スライスしてうにを巻いていきたいと思います。
牛肉に重さの0.8%の塩を加え、ジップロックに入れてできるだけ真空になるように閉じます。最終的にわさび醤油で味付けはしますが、素材のそれぞれに下味がついているほうが味がぼやけないので、今回は下味としてこの段階で塩をします。
保温性のよい鍋にお湯を張り、ジップロックとAnova Precision Cookerを入れ、加熱を開始します。加熱温度と時間について、今回は、57度/1時間半にしました。
これは、公益財団法人日本食肉消費総合センターがステーキの加熱について、レアの場合には「内部温度55~65℃以下」としていることをベースに、これまでの低温調理の経験を加味して設定した温度です。
低温調理は高温での調理に比べて衛生管理が難しいため、そもそも細菌などに汚染されている可能性の高い食材(鮮度がよくないものや流通経路が不明確なもの)は使用しない、調理器具は清潔なものを使い必要に応じて熱湯消毒をすることなどを心がけてください。使い捨て手袋を使って作業するのもおすすめです(うちも常備しています。)。
加熱が終わった牛肉は、牛脂をひいたフライパンで表面を強火で焼きます。表面に付着している可能性のある雑菌を殺菌する目的なので、全部の面を焼くように気をつけてください。焦げ目をつけるかどうかはお好みで。
さて、ここからは仕上げです。生わさびをおろしておきましょう。
レアに仕上がった和牛をスライスし、中央に生わさびをのせます。量はお好みで。わたしは多めが好きです。
さっと洗って水気を拭いたしその葉を半分に切ったものをのせ、その上にうにをたっぷりとのせます。
くるっと巻いて立てて、上部にさらにうにを追加します。
できあがり。低温加熱した和牛とうにの融合。なぜだか微妙に艶っぽい。
お醤油をつけて一口でいきましょう。とろける、とろけました……。生肉じゃなくても、おいしい和牛なら低温調理肉でも十分とろけました。並ぶ苦労を考えたら、これを家で作って食べるので十分に至福の時間を味わえると思いました。
ちなみに今回揃えた材料で、全部で八貫できたので、翌日も「生うに牛巻き」を楽しみました。
ちなみにこの日は、生うに牛巻きの他に、かぼちゃの塩煮、銀杏、カワハギの肝つき刺、ザーサイ、菊花と春菊のポン酢和え、根菜のきんぴらという、酒のつまみばかりの夕ご飯でした。
冒頭で出てきたカワハギは、こんな感じでお刺身に。薄造りが難しくていまいちな出来栄えですが、新鮮な肝がたっぷりはいっていたので、問題なしです。
こんな感じで、お刺身で肝をくるんだものをポン酢で食べたのですが、こちらもまた蕩けました。この季節ならではの楽しみですね。
低温調理に関する寄稿記事
これまでの低温調理
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